ツイッギー

アイコンとなった1960年代〜現在まで
ファッションやカルチャーの変遷と共に
ポジティブな軌跡を映すドキュメンタリー

  • 2026/04/14
  • イベント
  • シネマ
ツイッギー© Copyright Soho Talent Limited 2024 All Rights Reserved.

1960年代のイギリス発、世界を席巻したツイッギー初の公認ドキュメンタリーが完成。出演は、ツイッギー本人に加え、俳優のブルック・シールズ、ダスティン・ホフマン、シエナ・ミラー、ミュージシャンのポール・マッカートニー、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニーほか著名人多数。1949年にイギリスのロンドン郊外で生まれ、1966年に16歳でモデルとしてデビュー。ツイッギー(小枝)のようにスレンダーな中性的スタイルと大きな瞳で、当時にはなかった新しい美意識を確立。シンガーや女優としての活躍、結婚と出産、夫との死別、その後の再婚を経て、現在も活動し続けている姿を生き生きと映し出す。1960〜70年代のファッションやカルチャー、デヴィッド・ボウイとのコラボレーションなど華やかなエピソードが満載。デビュー60周年を迎える今もオープンなマインドで自分らしく生きる彼女の姿が、見る者を自然と明るい気持ちにさせるドキュメンタリーである。

ザ・ロネッツの「Be My Baby」が流れ、当時の記者会見の映像から始まり、いくつかのニュース映像、そして現在のツイッギーの姿へ。自宅の庭で花の手入れをしながら、夫からマグカップを受け取りひと休みする。穏やかなひとときだ。彼女の言葉で語られるのは、生まれ育った家庭のこと、のちに恋人となりマネージャーとなったジャスティンとの出会い、そして生まれて初めての本格的な撮影の記憶だ。また写真家たちによる有名な写真の数々について、関係者のコメントにより撮影した時のエピソードを紹介。そしてブルック・シールズやダスティン・ホフマン、ポール・マッカートニーなど親交のある著名人たち、さらに彼女を愛する家族たちの独占インタビューにより語られてゆく。

ツイッギー

モデルからシンガーや女優として成功し、今も第一線で活躍しているツイッギーの初となる公認ドキュメンタリー。本人のインタビュー映像や、親しい著名人たちのインタビュー、貴重なアーカイブ写真などのスタイリッシュな構成により、1960年代のカルチャーを体感するかのような内容だ。当時はモデルというと、上流階級の人々の世界であり、いわゆる“女性らしい”グラマラスな外見を求められていたとのこと。そのためデビューしてすぐに一流ファッション誌の表紙を次々と飾った労働者階級出身のツイッギーの登場がいかに驚くべき存在であったか。そのスタイルが大勢の女性たちに模倣され、彼女が世界的なアイコンとなり新しいファッションと美意識の象徴へと位置づけられていく、その熱狂ぶりがよく伝わってくる。当初、レズリー・ホーンビーという名の少女は姉の働く美容院で14歳からアシスタントのアルバイトを始め、16歳の時にその美容院に飾られた彼女の写真がきっかけとなり輝かしいストーリーが始まった。その時のことについてツイッギーはこのように語っている。「私の写真が美容院に飾られた次の週には新聞に載り、モデルの依頼の電話がかかってくるようになりました。まさかこんな人生になるなんて、誰よりも私が驚きましたよ。それまで海外なんて行ったこともなかったのに、パリ、ニューヨーク、東京に行くようになったんです。ゴージャスな服を着て、お給料ももらえて! 不思議な感覚でしたが、とてもワクワクしていました。マスコミの目を避けて、プライベートを干渉されないようにするのは、本当に大変でしたけどね。何が起こっているのか、立ち止まって考えることもなかったです。すべては偶然の積み重ねで、ただただ流れに身を任せていました。チャンスが与えられたら、たとえ怖くてもやるしかありません」
 フロスト監督は俳優やデザイナーとして活動し、長年ファッションの世界に惹かれてきたことから、自身初の長編作品『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』の後、60年代から70年代とのファッションとポップカルチャーをより深く掘り下げたいと考えていたとのこと。ツイッギーがこの時代においていかに大きな存在であったか、それをどのように伝えたいと考えたかを語る。「ロンドンの労働者階級出身だった彼女は、ファッションと社会のあらゆる面における女性像を変えました。彼女は自分のために、そして女性のために服を着ていました。それは革命的なことだったのです。私自身もこの業界にいるので、ツイッギーの人生の軌跡やジェンダーレスなところ、地に足のついた性格など、共感できる点がたくさんありました。そのようなところに焦点を当てて、どのように時代や価値観が変わっていったのかを提示することが大切だと思いました」

劇中には俳優やモデル、デザイナーや写真家、ミュージシャンや振付家、ファッション誌の編集者やプロデューサー、そして家族と、ツイッギーと関わりのあるさまざまな人物が出演。俳優のダスティン・ホフマン、ミュージシャンのポール・マッカートニー、俳優でモデルのブルック・シールズ、俳優のシエナ・ミラー、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニー、俳優でもとモデルのジョアンナ・ラムレイ、そして俳優で監督、ツイッギーの現在の夫であるリー・ローソン、ツイッギーの愛娘カーリー・ウィギンスほか、たくさんの人々が、ツイッギーとの関わりや当時のこと、どんなつながりがあるのか、思い出やエピソードについて生き生きと話している。ツイッギーは出演者たち全員に感謝し、とりわけポールについて“特別な友人”と楽しそうに話している。「みんながインタビューを受けてくれたことにとても感動したし、光栄に思いました。<中略>ポール・マッカートニーは特別な友人です。デビュー前の私はみんなと同じようにビートルズのファンだったので、ケン・ラッセルに呼ばれて行ったディナーの席にポールがいた時は、本当に驚いて緊張しました。それ以来、ポールとはずっと親しくしていますが、彼は昔から全然変わりません。なんでずっとあんなにも普通でいられるのか不思議なくらいです」
 また貴重なアーカイブの画像や映像にはたくさんの有名人たちが登場。なかでもツイッギーはデヴィッド・ボウイとの思い出について、このように語っている。「デヴィッド・ボウイも忘れられません。彼が歌詞で私の名前を歌ってくれた時は、人生で一番の感動でした。ずっとデヴィッド・ボウイが大好きでしたが、会ったことは一度もありませんでした。そんな時、彼がアルバム『アラジン・セイン』収録の曲『ドライブ・インの土曜日』(73)で私の名前を歌っているのを耳にしたのです。その後、パリでの撮影の時にボウイに会いました。緊張したけれど、彼はとても優しく聡明で、本当にかっこいい人でした。VOGUEの表紙には男性を載せることができず、その写真は使えなかったため、代わりにボウイは彼のアルバム『ピンナップス』のジャケットとして起用してくれました。」

ツイッギー,デヴィッド・ボウイ

ツイッギーの世界的な人気は、大きな瞳にショートヘア、スレンダーな体つきでミニスカートを着こなして「ミニの女王」と呼ばれた、単なる外見の愛らしさにとどまらない。その存在は、昔ながらの慣習や価値観が根強くある1960年代に、ジェンダーの境界にとらわれず、古いしがらみから女性たちを解放する気運とつながっていた。そして既存の秩序や大人への反発を原動力とした若者たちのムーブメント、スウィンギング・ロンドンの時代において、ツイッギーが象徴的な存在として熱狂的な人気を得たことを示している。ツイッギーは自身の大きな成功について謙虚かつ客観的に語る。「60年代半ばから後半にかけて、労働者階級の人々が役者やアーティストとして活躍し始め、若いモデルが台頭している時でした。音楽、アート、ファッション、映画、若者の発言力など、世界中の目がロンドンに向けられていました。私はたまたまその流れに乗っただけなのです。もしあと5年早かったり、もしくは遅かったとしたら、何も起こっていなかったと思います。実際にモデルとして働いたのはたったの4年間だけでした。映画監督のケン・ラッセルと出会って映画『ボーイフレンド』に出演し、本当に人生が変わりました。自分が本当にやりたいのは演技なんだと気づかせてくれて、扉を開いてくれました」
 その後、ツイッギーは俳優とシンガーに転身。1971年にミュージカル映画『ボーイフレンド』で俳優としてデビューし、第29回ゴールデングローブ賞にて新人女優賞と映画部門の主演女優賞(ミュージカル・コメディ)の2部門を受賞。1983年にはブロードウェイのミュージカル「My One and Only」で第37回トニー賞ミュージカル主演女優賞にノミネートも。一過性の存在ではないことを、確かな実力で証明していった。
 ドキュメンタリーについては、ここ20年で何度もその話があったなか、「何らかの理由でうまくいかなかったり、自分にはしっくりこなかったりして」実現しなかったとのこと。フロスト監督とは、モデルや女優として若い頃から活動してきたという共通点があり理解し合えること、監督が1960年代だけではなくすべてを描きたい、と言ったことが決め手となった。ツイッギーはこのドキュメンタリーの完成を喜び、当時のことについて改めてこのように感じたという。「モデルとしてのたった4年間のキャリアだけでなく、これまでやってきたことすべてが私の誇りなので嬉しかったのです。おかげで素晴らしい映画になりました。初めて観た時は、最初から最後までずっと泣いていました。制作段階で断片的には観ていたけれど、全体を通して観るといろいろなことが蘇ってきました。過去を振り返るタイプではないけれど、とても不思議な気持ちになりました。また、当時の自分のあまりの若さに驚きました。16歳や17歳なんてすっかり大人になったような気分だったけれど、振り返ってみると本当に幼かったのです」

ツイッギー,ほか

最初に結婚した俳優の夫マイケル・ホイットニーが病死し、その後に現在の夫リー・ローソンと結婚。おしどり夫婦として今も仲睦まじく暮らしている様子は、観客の心を和ませる。このドキュメンタリーでは、モデル時代に対談で相手から見下され、眉をひそめながらも静かにやり過ごす姿や、恋人でマネージャーだったジャスティンと次第にうまくいかなくなっていったことなど、成功の裏側にある苦悩にも光を当てている。そうしたことがありつつも、ひとりの人間としてオープンかつ素直に邁進し、充実した人生を送っている姿はとても眩しく、観終えたあとに前向きな気持ちが手渡されるような感触があるのは、ツイッギーの人柄が伝わってくるためかもしれない。ツイッギーは愛娘カーリーを「私の人生で最も愛する存在」と話し、さまざまなつながりに感謝して語る。「私は人生で出会い、関わってくれた人々に、本当に恵まれていると思います。こんなキャリアを成し遂げることができたのは紛れもなく運に恵まれ、素晴らしい人たちと仕事ができたからです。夫のリーとも40年間一緒にいます。私にとって家族は本当に大切なものなのです。私の核となるものですし、どんなに大変な状況でも、家族と過ごす時間こそが私を支えてくれるのです。そのおかげで、この業界で私は地に足のついた状態でいられるのだと思います」
 フロスト監督は、ツイッギーの魅力について、またこのドキュメンタリーへの思いを語る。「彼女はありのままの姿で、自分らしくあり続けました。アウトサイダーだと感じていたすべての女性に、そんなことない、ありのままの自分でいていいと教えてくれました。<中略>その自然体の姿は、ファッション、映画、その他あらゆるクリエイティブな分野で働くすべての女性にとって、今もなお模範であり続けています。私のように自分らしさを失ってしまうことがある人はたくさんいると思いますが、美しさは自分自身に正直であることから生まれるのです。ありのままの自分を貫いてきた人のストーリーを伝えるのは、とても刺激的なことでした」
 またデビュー60周年となるツイッギーは観客へのメッセージと共に、まだまだこれから、と楽しそうに語っている。「今年で76歳、デビュー60周年になりますが、私はこれからも引退しないと思います。新しいことに刺激を受けるこの仕事が気に入っています。何をするのか、次は何が待ち受けているのかを考えるのが大好きです。私はこの人生から挑戦することの大切さを学びました。年齢は関係ないということを、世の中のすべての女性、いや男性にも本作が示してくれることを願っています」

作品データ

公開 2026年4月24日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
制作年/制作国 2024年 イギリス
上映時間 1:37
配給 アンプラグド
原題 Twiggy
監督 サディ・フロスト
出演 ツイッギー
ブルック・シールズ
ダスティン・ホフマン
ポール・マッカートニー
ステラ・マッカートニー
シエナ・ミラー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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