未確認異常現象の機密情報を公開するべきか否か
導かれるかのように進む人々が辿り着くところとは
S・スピルバーグが自身の問いを具現化したSF大作
©Universal Studios. All Rights Reserved.「僕らは宇宙で唯一の存在なのか、あるいはそうでないのか? その問いは臨界点に達した。もし誰かが答えを知っているのなら、なぜ明かさないのか?」
スティーヴン・スピルバーグ原案・監督・製作、自らの問いを作品へと注ぎ込んだ最新作。出演は、『オッペンハイマー』のエミリー・ブラント、『チャレンジャーズ』のジョシュ・オコナー、『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、Netflixシリーズ「理想のふたり」のイヴ・ヒューソン、『シンシン/SING SING』のコールマン・ドミンゴほか。脚本は『ジュラシック・パーク』『宇宙戦争』『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』などでスピルバーグとタッグを組んできたデヴィッド・コープ、音楽も数々のスピルバーグ作品を手がけてきたジョン・ウィリアムズが務める。気象キャスターのマーガレットと米軍の内部組織でサイバーセキュリティを担うダニエル、接点のないはずの2人は衝撃的な機密情報を知ることになり……。未確認異常現象(UAP)に関わる機密情報を公開するべきか秘するべきか、立場の異なる人々の思惑が対立。国家のもとで強大な組織が機密保守のために暗躍する一方、それに抗いながら真相を追う人々による逃亡劇が展開する。各人の複雑な心情がせめぎ合い、アクションと心理劇が交錯する、ドラマティックなSF大作である。
マーガレットはカンザスシティのローカル局で気象キャスターをしているが、ジャーナリストとして新たなテーマを探求し、さらに飛躍するための機会を求めている。一方ダニエルは軍に関わる謎の組織ワーデックスでサイバーセキュリティの専門家をしていたが、ある思いから組織を離れる。接点のないはずのマーガレットとダニエルは自分たちの過去や記憶にあいまいな部分があるなか、衝撃的な機密情報を知り……。

守ることと明かすこと、人類はどちらかを選ぶべきなのか。スピルバーグが自身の考えや疑問をもとに原案を書き上げ、盟友コープが脚本として執筆した作品だ。制作のきっかけは、UAPと軍部にまつわる2017年12月のニューヨーク・タイムズ誌の記事「Glowing Auras and ‘Black Money:’ The Pentagon’s Mysterious U.F.O. Program」(光る物体と“闇の資金”:ペンタゴンによる秘密のUFOプログラム)をスピルバーグが読み、大きな興味を抱いたことだったという。「あの記事でUFO/UAPに対する私の興味にまた火が点いた。あの記事は私だけでなく、そもそもUFOを信じていない人たちや、自分たちに知らされていない何かが必ずあると信じてきた多くの人たちの関心を惹きつけた。空の向こう、この世界、そして現実そのものにおいて何が起きているのかという人々の疑問と関心は、抑えきれないほど高まったんだ。『私たち以外に文明が存在するのか? もし政府がそれを知っているのであれば、なぜそれを隠すのか?』それがきっかけとなり、これまでも描いてきた地球外生命体がテーマのストーリーを新たに作る時が来たのかもしれないと思った」
この映画は、スピルバーグ作品の『未知との遭遇』『E.T.』『宇宙戦争』などの流れを汲むSF作品であり、『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『ミュンヘン』『ブリッジ・オブ・スパイ』といった社会的な問題に関わる人々のドラマでもある。スピルバーグは自身の作品を例に挙げて、『ディスクロージャー・デイ』に込めた思いをこのように語っている。「『未知との遭遇』では『これが全て本当だったら素晴らしくないか?』と考えた。だが50年近く経った今、『これが全て真実であると皆が知ることができたら素晴らしくないか?』という考えに変わった」
そして脚本を執筆したコープは「本作も過去作に通じる部分がある一方、スティーヴンの新たな解釈も反映されている」と話し、この物語に対する自らの見解をこのように語っている。「本作を観た人たちの間では、内容のどの程度が科学的な“フィクション”なのか、どの程度が科学的な“事実”なのか、あるいは“事実かもしれない”のか、という議論が起こると思う。脚本家としての私の視点から言えばこれはSFスリラーだ」

ローカルのテレビ局で気象キャスターをしているマーガレット・フェアチャイルド役はエミリー・ブラントが、ジャーナリストとして新たな領域を探究する機会を求めている人物として。ワーデックスという謎の組織でサイバーセキュリティの専門家をしているダニエル・ケルナー博士役はジョシュ・オコナーが、ある思いから上司に反抗し逃亡するなか、さまざまな事実を知っていく複雑な心情を丁寧に表現。ワーデックスを率いる独裁的リーダーのノア・スキャンロン役はコリン・ファースが、かつてはワーデックスに忠誠を誓いながら今は異を唱える立場にあるヒューゴ・ウェイクフィールド役はコールマン・ドミンゴが、ダニエルのパートナーで元修道女のジェーン・ブランケンシップ役はイヴ・ヒューソンが、マーガレットの恋人ジャクソン役はワイアット・ラッセルが、ワーデックスのエージェントであるサンティアゴ役はトミー・マルティネスが、同じくエージェントのキャスパー役はヘンリー・ロイド=ヒューズが、それぞれに演じている。
また本作の劇中音楽は、これまでに数々の作品でスピルバーグとタッグを組んできたジョン・ウィリアムズが担当。スピルバーグは映画音楽を引退していたウィリアムズに、「もう一度一緒に映画を作ろう」と依頼したという。そしてウィリアムズの音楽制作への敬意と感謝を込めて、スピルバーグはこのように語っている。「これで一緒に作った映画が30作目になるなんて信じられるかい?しかもジョンは94歳になったばかりだが、40歳の頃と比べても、その素晴らしさはまったく衰えていない。彼のキャリアの奥行きと圧倒的スケールにはいつも感銘を受けている」
劇中ではカーチェイスやクラッシュなど数々のアクションシーンが展開。なかでも特に迫力があるのが列車のシーンであり、ニュージャージー州のケープメイにある短距離鉄道とスタジオの両方にて撮影。この列車はケンタッキー州の列車博物館から実物を購入、撮影用に改造された全長約15メートル、重量約23トンの有蓋車であるとのこと。スピルバーグの半自伝的な映画『フェイブルマンズ』でも描かれていたように、彼が子どもの頃から列車同士を衝突させて撮影をしていたことから、長年のアイデアを実現させた形となった。スピルバーグは1971年の自身の作品『激突!』と比較して語る。「『激突!』では列車が通過してデヴィッドの車は衝突しなかったが、『ディスクロージャー・デイ』では私が本当にやりたかったことができた」
撮影はニューヨーク州、ニュージャージー州、そしてブルックリンのスタイナー・スタジオなどにて。KCXEテレビスタジオのシーンは、ニュージャージー州ニューアークにあるニュージャージー工科大学(NJIT)にて撮影。またNBCニュースの副調整室のシーンでは、マンハッタンの30ロックフェラー・プラザ内に実際にあるニューススタジオを使用。このシーンでは、ほとんどの出演者がNBCニュースの本物の職員が劇中でも現実と同じ仕事をしているとのことで、現実とフィクションの境目が曖昧になり、現場の空気がリアルに醸されているところもユニークだ。

近年のアメリカでは、2020年に海軍機が撮影したUAP映像を国防総省が正式に公開、2023年に元情報将校たちが議会で証言、そして2026年には米国防総省は史上最大規模となるUAP関連ファイルを公開するなど、未確認飛行物体に関する情報開示が現実に進められている。ここでも映画の物語と現実が呼応しているかのような状況が興味深い。スピルバーグはこうしたアメリカ政府の動きについて、2026年6月9日(日本時間)にアメリカで行われたNYプレミアにて、このように語った。「これは陰謀ではありません。私は国防総省や政府の回し者でもない。監督として何年もこの物語を描きたかったのです。今作の公開直前に、実際の情報開示が始まるとは思っていませんでしたよ」
圧倒的な真実を目にしたとき、人は何を試されるのだろうか。未公表の真実を開示することは、常に大きな緊張を伴う。それは世界を救うきっかけになることもあれば、平穏な日常を破壊することにもなるかもしれない。そこには人の知ることへの渇望と知ることへの恐れが交錯している。マーガレットとダニエルは、真実を求めながら、それを知ることで自分たちの世界が壊れるかもしれないという恐怖を抱きながらも、その先へと進んでゆく。私たちはそこにどのような感情や思いを抱くのか。恐れか、希望か、それともそのどちらでもない新しい感覚なのか。この映画を観て自身の感情を受けとめてみることが、この映画の体験なのだろう。エミリー・ブラントとジョシュ・オコナーはNYプレミアにてこのようにメッセージを伝えた。
エミリー「監督と仕事ができたことは、特別な体験でした。人生でも最高の経験のひとつよ! 宇宙で私たちだけではない。そう思える喜びを感じてほしい。今作は観る人の価値を根底から揺さぶる作品だと思うわ」
ジョシュ「スピルバーグ作品に出演しているなんて、本当に夢のようだ。出演が決まる前は、宇宙には私たちだけじゃないかも――。その程度に考えていたけど、今はその存在を信じているよ」
スピルバーグは、「説明のつかない存在にずっと魅了されてきた」と話し、「『未知との遭遇』を製作した頃よりも、“人類以外の存在”を本気で信じている」とも。そしてこの映画には、人は真実を知った時にどうなるのか、という問いが込められているとスピルバーグは語る。「本作は単に“誤情報”についての映画ではなく、権力者が自分たちの計画のために真実とフィクションの境界をうやむやにする手段を持っている中で真実を明らかにすることの難しさを描いています。さらに本作は、世界に関する私たちの理解を広げるであろう真実が、人が生きていく上で拠り所となっている宗教などの信念を揺るがすかもしれない場合、私たちはそれとどう向き合うのかということも問いかけています。<中略>結局のところ『ディスクロージャー・デイ』のストーリーで描かれているのは、“共感”というのは世界中で分かち合うべき素晴らしい資源だということであり、それは私利私欲のために独占したり、自分に近しい者だけのために向けたりするべきものではないということだ」
| 公開 | 2026年10月1日より全国公開 |
|---|---|
| 制作年/制作国 | 2026年 アメリカ |
| 上映時間 | 2:25 |
| 配給 | 東宝東和 |
| 英題 | DISCLOSURE DAY |
| 監督・原案・製作 | スティーヴン・スピルバーグ |
| 脚本 | デヴィッド・コープ |
| 音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
| 出演 | エミリー・ブラント ジョシュ・オコナー コリン・ファース イヴ・ヒューソン コールマン・ドミンゴ |

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