リニューアル記念第二弾!
住友洋画コレクションの「光」と「陰」の競演から近代洋画史を辿る
2年間の改修期間を経て3月にニューアルオープンした「泉屋博古館東京」。日本画コレクションの全貌を展観した第一弾記念展に続き、第二弾は洋画コレクションを展観。初公開の秘蔵名画を含む近代洋画の名品を一堂に紹介する。
住友コレクションの一角を占める近代洋画は、19世紀末の日本に将来されたモネの実作として最も初期の作品《モンソー公園》等にはじまる。一方で、同時代のフランスアカデミズムを代表するジャン=ポール・ローランスらの歴史画も収集した。
前者のような光を追い求めた印象派と後者のような陰影表現による実在感を追究した写実派。19世紀末のフランス絵画は、印象派の台頭とともに古典的写実派が次第に衰退していく様相を示すことになるが、住友コレクションには同時代の印象派と古典派の作品がともに揃って収集されているところに醍醐味がある。
そして、この印象派「光」と写実派「陰」、二つの潮流から滋養を受けて展開した日本近代洋画の数々も展示され、近代洋画史の流れを伺えるのが本展のみどころ。
住友吉左衞門友純(春翠)の収集は、関西洋画壇をリードした浅井忠やその門下生たちの作品へと続く。本展では、黒田清輝や藤島武二ら白馬会系の外光表現と、対照された鹿子木らアカデミックな画風の様相を紹介している。
また、コレクションには東京美術学校で学び、明治末から大正期にパリ留学から帰朝後に日本の洋画を切り拓いた青年画家たちの作品が順次加えられていく。一世を風靡したそれらの作品は「東京美術学校と官展の画家たち」の展示で観覧できる。
さらに春翠の子息たちによりコレクションに加えられた、岸田劉生や、ピカソやルオーの名品、また「日本的フォーヴィスム」とよばれた画家たちの魅力ある絵画も一堂に展観している。
「光陰」とは本来「歳月」や「月日」の謂いだが、明治・大正・昭和という激動の時代を経て今に伝わる作品たちがくぐり抜けてきた歳月にも思いを馳せることができる。
リニューアルを彩る住友洋画コレクションの「光」と「陰」。二つの競演から近代洋画史を賞翫する貴重な機会となりそうだ。
展覧会名 | 泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展U 光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション |
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会期 | 2022年5月21日(土)〜7月31日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし祝日の場合は翌平日休館) |
時間 | 11:00〜18:00 ※金曜日は19:00まで ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 泉屋博古館東京 港区六本木1-5-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,000円、高大生 600円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://sen-oku.or.jp/tokyo/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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