篠山紀信ら7組8名のアーティストたちの多彩なアプローチから、
写真・映像が捉えた人々の「記憶」に迫る展覧会
月刊誌『アサヒカメラ』の篠山紀信による連載『決闘写真論』(1976年)の中の作品《誕生日》・《家》。これらにおける記憶への示唆を起点としながら、高齢化社会や人工知能(AI)といった今日の記憶と関連するテーマまで焦点を当て、日本、ベトナム、フィンランドの注目される7組8名のアーティストたちの新作、日本未公開作を含む70余点を紹介する展覧会が開催。
今年(2024年)1月に惜しまれつつ逝去した篠山紀信。中平卓馬との『決闘写真論』(1976 年)は今日でも新鮮さを失わない。本展では、篠山紀信が投げかけた一連のポートレイト写真による「写真論」である《誕生日》を展示として再現。あわせて、1970年代に4年間続けられた連載《家》を本展の起点とし、2011年の東日本大震災を取材した《ATOKATA》との対比から、篠山がカメラを向けた「生活のにおいや手あか」が何を伝えたのか、その視点を探っていく。
その他にも、重要な作品が日本初公開される。
国内外のイデオロギーの衝突や紛争や事件、あるいは自然災害などが起こった場所を取材し、歴史と人の存在について問いかける米田知子。本展では、日露戦争後日本とロシアの国境として定められた北緯50度周辺、DMZ、韓国と北朝鮮の北緯38度線の国境地帯で撮影された作品の数々が展示される。
また、ベトナム戦争での破壊後も多くの聖地が残されているニントゥアン省を取材したベトナム人作家のグエン・チン・ティが国際社会に発信した重要作《パンドゥランガからの手紙》を紹介。
美術評論でも幅広く活躍する小田原のどか。本展では、彫刻と写真との関連から新たな視点を生み出すことを示唆するテキストによる作品が展観される。
そして、画家・村山悟郎と東京大学教授の池上高志・徳井直生が率いるQosmo は、強力なタッグを組み、それぞれが異なったアプローチからAI を使い共同制作した作品なども展示される。
さらに、マルヤ・ピリラと日本の作陶ユニットSatoko Sai + Tomoko Kurahara のコラボレーションによるプロジェクトを紹介。トゥルク市に住む高齢者たち9名の内面の世界を写真、映像作品と陶作品により浮かび上がらせた《インナー・ランドスケープス、トゥルク》が紹介される。
写真・映像は、人々のどのような「記憶」を捉えようとしてきたのだろうか。本展では、作家たちの多彩なアプローチから迫っていく。
展覧会名 | 記憶:リメンブランス―現代写真・映像の表現から |
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会期 | 2024年3月1日(金)〜6月9日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火) |
時間 | 10:00〜18:00(木・金曜日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京都写真美術館 2F 展示室 目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 700円、学生 560円、中高生・65歳以上 350円 ※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料 |
公式サイト | https://topmuseum.jp/ |
問合せ | 03-3280-0099 |
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