さらなる飛躍が期待される現代アーティスト2名の現在地を体感
東京都とトーキョーアーツアンドスペースが(TOKAS)が、海外での展開も含め、更なる飛躍とポテンシャルが期待できる国内の中堅アーティストを対象とした現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」。4回目の選考により選出されたサエボーグと津田道子による受賞記念展が開催。
受賞から約2年間の支援期間を経て実現する本展では、今後の飛躍が期待される2名の現在地を体感できるような作品を紹介する。
半分人間で、半分玩具の不完全なサイボーグとして、人工的であることによって、性別や年齢などを超越できると捉えるラテックス製のボディスーツを自作し、パフォーマンスとインスタレーションを国内外で展開するサエボーグ(1981年〜)。昨年の海外滞在リサーチでの経験や近作を土台に作り上げる本展は「I WAS MADE FOR LOVING YOU」と冠し、作品の軸となってきた人間と動物の関係性というテーマの中で、「ケア」の視点に立った作品を発表する。
展示室の中では鑑賞者が、ライフサイズの玩具のような空間で、肉体と化学製品、動物と人間の境界線を越えた体験をしてもらうことを構想している。鑑賞者がパフォーマンスの一部となることで、観る側が時として観られる側に回るような、美術展の構造を利用した仕掛けを試みる。
映像メディアの特性にもとづき、インスタレーションやパフォーマンスなど多様な形態で制作を行う、津田道子(1980年〜)。「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」と冠した本展では、近年強く関心を寄せている「身体性」について追求する中で、自身の幼少期に、ビデオカメラが家に来て最初に撮影されたホームビデオに収められた家族の出来事から着想した新作を中心に、映像装置が組み込まれたインスタレーションを発表する。撮影者の視点がレンズ越しに収められたどこにでもありそうな出来事の再演は、家族という最小単位の社会による、きわめて個人的な記録を起点としながらも、集団の中での人々の立ち位置やシステムへと、その領域を広げていく。
隣り合うふたつの展覧会は制作に対する関心もアプローチも大きく異なり、それぞれが独立したものでありながら、「身体」をひとつの起点とし、展示室内での鑑賞者のふるまいが作品の一部となるという共通点を持っている。
会期中には、パフォーマンスなどのプログラムを通じて、展示空間と鑑賞者の身体を架橋するような体験へと誘う。
鑑賞を通じて自身に向き合うことで、動物を含む他者との関係性や、社会的に期待された役割などに目を向けることにもなるだろう。
展覧会名 | サエボーグ「I WAS MADE FOR LOVING YOU」/津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」 Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展 |
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会期 | 2024年3月30日(土)〜7月7日(日) |
休館日 | 月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火) |
時間 | 10:00〜18:00 |
会場 | 東京都現代美術館 企画展示室 3F 江東区三好4-1-1 |
観覧料 | 無料 |
公式サイト | www.tokyocontemporaryartaward.jp |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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