「江戸吉原」の約250年にわたる文化・芸術を、美術作品を通して検証
仕掛けられた虚構の世界を約230件の作品で紹介
約10万平方メートルもの広大な敷地に約250年もの長きに渡り続いた幕府公認の遊廓・江戸吉原。今や失われた吉原遊廓における江戸の文化と芸術について、アメリカのワズワース・アテネウム美術館や大英博物館からの里帰り作品を含む国内外の名品の数々で、丁寧に検証し、その全貌に迫る展覧会。
江戸吉原は、他の遊廓とは一線を画す、公界としての格式と伝統を備えた場所だった。武士であっても刀を預けるしきたりを持ち、洗練された教養や鍛え抜かれた芸事で客をもてなし、夜桜や俄(即興の芝居)など季節ごとに町をあげて催事を行った。約250年続いた江戸吉原は、常に文化発信の中心地でもあったのだ。贅沢に非日常が演出され仕掛けられた虚構の世界だったからこそ、多くの江戸庶民に親しまれ、地方から江戸に来た人たちが吉原見物に訪れた。そうした吉原への期待と驚きは多くの浮世絵師たちによって描かれ、蔦屋重三郎らの出版人、文化人たちが吉原を舞台に活躍した。
三部構成となる本展の「第一部 入門編」では、吉原の文化、しきたり、生活などを、鳥居清長、葛飾北斎、歌川広重ら厳選した浮世絵作品や映像を交えてわかりやすく解説。
「第二部 歴史編」では、菱川師宣、喜多川歌麿、鳥文斎栄之、歌川国貞、酒井抱一、高橋由一、鏑木清方らの風俗画や美人画を中心に、約250年の歴史を紹介。江戸時代の名品の数々から、修復後初展示となる高橋由一の《花魁》(重要文化財)を経て変容していく近代の様相までを通覧する。
「第三部 体験編」では、展示室全体で吉原の五丁町を演出。浮世絵を中心に工芸品や模型も交えてテーマごとに作品を展示。吉原独自の年中行事をめぐりながら、客の作法や遊女のファッション、芸者たちの芸能活動を知ることができる。
「江戸風俗人形」の空間では、辻村寿三郎の江戸風俗人形が並ぶ吉原の妓楼「三浦屋」の3メートル四方の立体模型が展観される。
本展を企画した古田亮氏(東京藝術大学 大学美術館教授、美術学部近現代美術史・大学史研究センター長)は、「遊廓は現在の社会通念からは許されざる制度であり、すでに完全に過去のものとなっている。それゆえに失われた廓内でのしきたりや年中行事などを、優れた美術作品を通じて再検証したい」と寄せている。本展では、決して繰り返してはならない人権侵害・女性虐待の負の歴史をふまえて展示される。
展覧会名 | 大吉原展 |
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会期 |
2024年3月26日(火)〜5月19日(日) ※会期中、展示替えあり 前期:3月26日(火)〜4月21日(日) 後期:4月23日(火)〜5月19日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京藝術大学大学美術館 台東区上野公園12-8 |
入館料 | 一般 2,000円、高大生 1,200円、中学生以下無料 ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | https://daiyoshiwara2024.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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