尽きることない創造力の源泉を紐解く「記憶」
世界初となる田名網敬一の大規模回顧展
国際的に高い評価を得るアーティスト、田名網敬一(1936年〜)の初となる大規模回顧展が開催。アートディレクター、実験映像作家、アニメーション作家など、ジャンルを横断した創作活動により、現代的アーティスト像のロールモデルとも呼べる田名網の60年以上にわたる活動を「記憶」というテーマのもとに紐解く。
戦争の記憶とその後に触れたアメリカ大衆文化からの影響が色濃く反映された、色彩鮮やかな作品で知られる田名網は、武蔵野美術大学デザイン科に在学中の1957年に日本宣伝美術会主催の日宣美展で特選を受賞。在学中からデザイナーとして仕事の依頼を受け、1966年には作品集『田名網敬一の肖像』を出版。自らを「イメージディレクター」と名乗り、シルクスクリーンによるポスター、コラージュやアニメーション、イラストレーションや絵画などの作品を精力的に手掛けた。
1975年には日本版『PLAYBOY』の初代アートディレクターに就任。この頃、並行して実験映像も制作し、表現の幅を広げた。1980年代は中国への旅行と約4か月にわたる入院中に見た幻覚をきっかけに、東洋的な楽園や奇想の迷宮を思わせるようなイメージを描くようになった。
2000年頃からはこれまで田名網の作品に現れた様々なモチーフが再び組み合わされることで、より複雑でダイナミックなイメージが展開されている。
88歳になった今も精力的に活動を続ける田名網は、世代や国を超えたアーティストやデザイナーを魅了し続け、コラボレーションを求める声が後を絶たない。
本展では、日本最初期のポップアートとも呼べる「ORDER MADE!!」シリーズや、ベトナム反戦ポスターコンテストに入選した「NO MORE WAR」シリーズなど、日本の戦後文化史と密接に結びついた作品をはじめとし、幼少期の戦争体験や生死をさまよう病の経験から「人間は自らの記憶を無意識のうちに作り変えながら生きている」という説に基づき、自身の脳内で増幅される「記憶」を主題とした作品が多数展示され、尽きることのないその創造力の源泉に迫る。
また、ファッションブランドやミュージシャンなどのほか、生前交流のあった赤塚不二夫とコラボレーションした作品も紹介。多種多様なクライアントワークやコラボレーションから生じる化学反応を楽しみたい。
初公開の最新作を含む約500点の膨大な作品から、田名網が探究を続けている虚実が入り混じった記憶のコラージュのような作品世界を体感できる絶好の機会となるだろう。
展覧会名 | 田名網敬一 記憶の冒険 |
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会期 | 2024年8月7日(水)〜11月11日(月) |
休館日 | 火曜日 |
時間 | 10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで) ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E 港区六本木7-22-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 |
一般 2,000円、大学生 1,400円、高校生 1,000円、中学生以下無料 ※8月19日(月)〜25日(日)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要) ※詳細は公式サイトをご確認ください |
公式サイト | https://www.nact.jp |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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