願いとともに、時代をも写す祈りのかたち
日本古写経の多様な姿を紹介
五島美術館と大東急記念文庫の収蔵品から古写経の名品約50点を厳選して展観。奈良時代の一切経や平安時代の装飾経など、質量ともに日本随一を誇るコレクションの展覧会だ。
6世紀に日本にもたらされ、天皇から貴族、武家や民衆まで、心の拠りどころとなった仏教では、広く世に伝えられる手段として「写経」が用いられてきた。
国家の平和、先祖の冥福、一族の反映、自身の安全など、それぞれの目的や願いとともに書き写されてきた「古写経」は、本来の仏教経典としての内容的な価値だけではなく、時代ごとに特徴的な文字や装飾料紙なども大きな見どころとなる。
奈良時代に国家事業として官立の写経所で写された一切経は、厳格な楷書を特徴とし、平安時代の装飾経は貴族の美意識を反映して、金銀彩色の料紙に温雅な文字をたたえる。また、鎌倉時代には祈りの広がりと呼応するように、文字・料紙ともに多彩な写経が作られた。
本展は、五島美術館が収蔵する「古経楼コレクション」から精選した、奈良から鎌倉時代の約50点の優品(会期中一部展示替あり)と、国内に現存する稀少な遺品によって、日本古写経の多様な姿を紹介する。
藤原道長が発願、自ら紺紙に金字で写経したものの一部である「重要文化財 紺紙金字法華経(金峯山埋経)藤原道長筆」や「国宝 白描絵料紙理趣経(目無経)」(展示予定期間=9月10日[火]―9月23日[月・祝])など、見逃せない書が並ぶ。
また、大東急記念文庫創立75周年記念特集展示として、鎌倉から江戸時代の絵巻、絵本約20点も同時公開(会期中一部展示替あり)。
10月5日〜14日の期間限定で、国宝「紫式部日記絵巻 五島本第一・二・三段」も特別展示される。
秋風が心地よい季節、雅やかな絵巻と、「一生に一度は観たい」古写経の世界を楽しみたい。
展覧会名 | [館蔵]秋の優品展 一生に一度は観たい古写経 |
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会期 | 2024年9月3日(火)〜10月14日(月・祝) |
休館日 | 月曜日(9月16日・23日、10月14日は開館)、9月17日(火)・24日(火) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 五島美術館 世田谷区上野毛3-9-25 |
観覧料 | 一般 1,100円、高大生 800円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://www.gotoh-museum.or.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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