全身全霊をかけて「描くこと」に取り組んだ画家の
不屈の情熱の軌跡をたどる大回顧展
自らの芸術の探究に生涯を捧げるも、無名のまま亡くなり、没後に劇的な再評価を受けた日本画家、田中一村(1908〜1977年)。神童と称された幼年期から、終焉の地である奄美大島で描かれた最晩年の作品まで、250点以上の作品と資料で、その全貌を紹介する大回顧展。
幼い頃から画才を発揮し、7歳の時に彫刻師の父から
昭和22年(1947年)、柳一村と画号を改め、《白い花》が青龍展に入選。翌年、田中一村の名で同展に入選するも、自信作の《秋晴》が落選したため辞退。その後、日展、院展と相次いで落選。わずかな支援者頼りの制作が続くが、昭和33年(1958年)、50歳にして単身奄美大島へ移住。以降、亜熱帯の植物や鳥などを題材とした新たな日本画の世界を切り拓いた。
昭和52年(1977年)、奄美の自宅で夕食の支度中に心不全で倒れ、誰にも看取られることなく69歳の生涯を閉じた一村。生前に個展開催の夢が叶うことはなかったが、三回忌に奄美の知人たちが開催した展覧会を地元メディアが報じたことからその名が知られることとなり、1984年にテレビ番組の全国放送で取り上げられるや、大反響となった。その後も展覧会の開催や評伝刊行など、顕彰の動きは止まず、平成13年(2001年)奄美に田中一村記念美術館が設立された。
本展では、奄美における主要な作品のほか、数え8歳で描いた、父が筆を入れたことが気に入らず破り取った跡が残る《菊図》色紙などの幼少期の作品から、若き南画家として身を立てた後、南画を飛び出した新たな画風が受け入れられず、「空白期」といわれていた20代半ば頃の作品など、幅広く紹介。
特に、一村が自筆の書簡の中で「閻魔大王えの土産品」と記した「大作二枚」といわれる《アダンの海辺》と《不喰芋と蘇鐵》の2点が揃って展示されるのは14年ぶりだ。
生前に中央画壇から評価されなかった一村は「最後は東京で個展を開いて、絵の決着をつけたい」と述べていた。その宿願が実現するという意味を持ち、一村の回顧展として最大規模となる本展で、その不屈の情熱の軌跡に触れ、奄美の光に満ちた絵画の魂を見出してほしい。
※画像はすべて、©2024 Hiroshi Niiyama
展覧会名 | 田中一村展 奄美の光 魂の絵画 |
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会期 | 2024年9月19日(木)〜12月1日(日) |
休室日 | 月曜日(ただし9月23日、10月14日、11月4日は開室)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火) |
時間 | 9:30〜17:30(金曜日は20:00まで) ※入室は閉室の30分前まで |
会場 | 東京都美術館 企画展示室 台東区上野公園8-36 |
観覧料 |
一般 2,000円、大学・専門学生 1,300円、65歳以上 1,500円、高校生以下無料 ※土日祝および11月26日(火)〜12月1日(日)は日時指定予約制 ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | https://isson2024.exhn.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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