「鉄」と「ガラス」異なる素材を扱う二人の現代作家が
アール・デコの装飾空間を照らし出す
現代美術の第一線で活躍を続ける二人の作家、青木野枝と三嶋りつ惠が、それぞれ扱う「鉄」と「ガラス」を用いた作品で館内を彩り、新たな視点でアール・デコの装飾空間を照らし出す企画展。
フランスで目にしたアール・デコの様式美に魅了された、朝香宮夫妻の邸宅が前身となる装飾性豊かな空間で、鉄とガラスという二つの素材がアール・デコの造形のエッセンスを雄弁に物語る。
活動当初から一貫して、鉄を素材に抽象彫刻を生み出してきた彫刻家の青木野枝は、工業用の鉄板を溶断して線や円を切り出し、そのパーツを展示空間やその場に合わせて巧みに繋ぎ合わせて作品化する。鉄という重い素材を用いながらも、その作品は軽やかな浮遊感を放ち、まるで空間の中に描かれたドローイングのようだと評される。
1989年からヴェネツィアに移住し、現在イタリアと京都の二拠点で活動する三嶋りつ惠は、無色透明なガラスにこだわり、光の輪郭を描き出す有機的なフォルムの作品を生み出してきた。伝統ある古い建造物の中で作品を展示することも多く、置かれる空間の特性を意識したインスタレーションで高い評価を得ている。
重い素材とされる鉄に向き合い、鉄を溶断する時にあらわれる内部の「透明な光」から様々なインスピレーションを得てきた青木と、私たちの身の周りに溢れる光の表情に心を寄せて、自身のガラス作品を通して「光の輪郭」を描き出そうと試みてきた三嶋。
本展では、光に対する意識や向き合い方が異なるが、ともに光に思いを馳せて生み出された二人の作品が、それぞれ作家自身の手によって配置され、陰影に富んだ空間に広がる。
昼は自然光が差し込み、夕暮れには暖かな室内照明が灯る。時間ごとに、季節ごとに、絶えず変化する展示風景は必見だ。
ルネ・ラリックやレイモン・シュブらが手がけた歴史的な装飾空間に、青木と三嶋の作品との時を超えた特別な競演が実現する機会を楽しみたい。
二作家が展覧会の自作について語るアーティストトーク(2月15日)など、光と場をめぐる多彩なプログラムも企画されている。
展覧会名 | そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠 |
---|---|
会期 | 2024年11月30日(土)〜2025年2月16日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし1月13日は開館)、12月28日(土)〜1月4日(土)、1月14日(火) |
時間 | 10:00〜18:00(11月30日、12月6日・7日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで |
会場 | 東京都庭園美術館(本館+新館) 港区白金台5-21-9 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 |
一般 1,400円、大学生・専門学校生 1,120円、中高生・65歳以上 700円、小学生以下無料 ※事前予約制 ※詳細はこちらをご確認下さい |
公式サイト | https://www.teien-art-museum.ne.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。