ル・コルビュジエの芸術観「諸芸術の綜合」をひも解き、
後期の絵画芸術にフォーカスする展覧会
建築家 ル・コルビュジエ(1887〜1965年)は、活動の後期において、建築の指揮のもとで絵画や彫刻をつなぐ試みを「諸芸術の綜合」と言い表した。
それは、統一、調和、普遍的法則の理想主義に導かれた、彼の芸術観全体を示すスローガンでもあった。
本展では1930年代以降に手がけられた絵画、彫刻、タペストリーを展観し、芸術、建築、デザインが反応し合い統一体となる、その「諸芸術の綜合」の概念を明らかにする。
また、ル・コルビュジエの後期の絵画芸術に注目したはじめての展覧会となり、彼の絵画の集大成である「牡牛」のシリーズから、晩年の3点を観ることができる。
本展のゲスト・キュレイターに、ドイツの若手美術史家のロバート・ヴォイチュツケ氏が参画。
2020〜22年まで、国立西洋美術館の客員研究員として滞日したヴォイチュツケ氏は、近著『未完の美術館』にて、ル・コルビュジエによる国立西洋美術館(世界文化遺産)の建築の新たな解釈を示しており、これまでにない視点によるキューレーションも、本展のみどころとなる。
会場構成を手掛けるのは、国際経験を経て結成した気鋭の建築コレクティブ「ウルトラスタジオ」。
メンバーの3人は都市、歴史、物語などを手がかりに、ディスカッションを重ねて設計を行うスタイルを特徴としており、本展ではル・コルビュジエの内装に着目。
「インテリア」「コーディネイト」「トランジション」をキーワードに、居住空間のなかに置かれた諸芸術の綜合をイメージした会場構成となる。
ル・コルビュジエは近代建築の巨匠として世界的に知られているが、視覚芸術の他分野においても革新をもたらした。
本展は4章だての構成で、国内外から集められた作品約90点(絵画、彫刻、素描、タペストリー、図面、模型、ルシアン・エルヴェの写真作品)の他、写真資料が展開される。
絵画等、建築以外の作品のほか、ル・コルビュジエが求め続けた、新しい技術の芸術的利用にもスポットをあて、あわせて後期の建築作品も紹介することで、伝統的な枠組みを超えたル・コルビュジエの円熟期の芸術観をひも解く。
また、フェルナン・レジェ(1881〜1955年)、ジャン(ハンス)・アルプ(1886〜1966年)、カンディンスキー(1866〜1944年)といった同時代に活躍した先駆的な芸術家たちの作品を対峙させることで、当時の芸術潮流におけるル・コルビュジエの立ち位置も浮かび上がらせる。
展覧会名 | ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965 |
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会期 | 2025年1月11日(土)〜3月23日(日) |
休館日 | 水曜日(ただし3月19日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00(2月7日、3月7日、14日、21日、22日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | パナソニック汐留美術館 港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4F >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 |
一般 1,200円、65歳以上 1,100円、高大生 700円、中学生以下無料 ※土・日曜日、祝日は日時指定予約制 |
公式サイト | https://panasonic.co.jp/ew/museum/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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