選りすぐりの作品で、ミロの創作活動全体を振り返り
その芸術の真髄を体感できる大回顧展
90歳で亡くなるまで、新たな表現に挑戦し続けたジュアン・ミロ(1893〜1983年)の、70年におよぶ創作活動全体を振り返る展覧会。
〈星座〉シリーズをはじめ、初期から晩年までの各時代を彩る絵画や陶芸、彫刻により、ミロの芸術を包括的に紹介。日本での回顧展としては、存命中の画家自身が協力した1966年の展覧会に並ぶ、最大規模の回顧展となる。
スペイン、カタルーニャ州に生まれたミロは、同郷のピカソと並び20世紀を代表する巨匠に数えられ、太陽や星、月など自然の中にある形を象徴的な記号に変えて描いた、詩情あふれる独特の画風は日本でも高い人気を誇る。
本展は5章だての構成で、各年代を代表する名品を紹介。
故郷カタルーニャの地で描いた初期の名作《ヤシの木のある家》、1920年代の傑作《オランダの室内I》、晩年を迎えても新たな表現に挑戦した《焼かれたカンヴァス2》など、世界中から集結した数々の作品を年代ごとに観ることで、作風の移り変わりを感じることができる。
第1章では、会計の仕事に就くも、望まぬ仕事の果てに病にかかったのを機に画家へ転身したミロが、美術学校に通いながら国際的な前衛芸術運動に共鳴していた、初期の作品を紹介。1918年に描かれた細密画的な風景画のひとつ、《ヤシの木のある家》はこの章で紹介されている。
1920年、初めてパリを訪れたミロは、シュルレアリスムの画家や詩人たちと交流し、パリと行き来しつつ、故郷カタルーニャの大地の中で表現を確立。芸術の都パリでシュルレアリスムの画家として名を知られる存在となった。伝統的な絵画表現への反抗を試みるようになったこの時期の作品は第2章で展開。
本展のみどころの一つは、ミロの代表作〈星座〉シリーズのうち3点が出品されていることだ。
戦火を逃れながら、夜や音楽、星を着想源にして全23点が描かれたこのシリーズは、現在世界中に散らばっているため、複数作品を観ることができる本展は、貴重な機会となる。
ミロ本人が「高度に誌的な次元に到達した」と語っているこのシリーズの作品は、第3章で観ることができる。
そのほかの章では、アメリカで評価され、巨匠としての地位を確立した時期の作品や、絵画の本質を追い求め、亡くなるまで自身の表現を更新し続けた様子がわかる作品などが紹介されている。
ミロが亡くなってから40年ほど経ち、世界の美術館でミロの回顧展が開催されている。美術史に位置づける機運が高まっているこの機会に、困難な時代でも自由な表現を追い求め続けたミロの作品を観ておきたい。
展覧会名 | ミロ展 |
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会期 | 2025年3月1日(土)〜7月6日(日) |
休室日 | 月曜日(ただし4月28日、5月5日は開室)、5月7日(水) |
時間 | 9:30〜17:30(金曜日は20:00まで) ※入室は閉室の30分前まで |
会場 | 東京都美術館 企画展示室 台東区上野公園8-36 |
観覧料 |
一般 2,300円、大学・専門学生 1,300円、65歳以上 1,600円、高校生以下無料 ※土日祝のみ日時指定予約可 ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | https://miro2025.exhibit.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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