雪舟から応挙、若冲へ
国宝、重要文化財を含む名品の数々が、東京・上野に集結
室町幕府三代将軍・足利義満(1358〜1408年)の発願により創建され、時代を通じ数々の芸術家を育て名作の誕生を導いてきた、相国寺。
室町幕府の御用絵師とされる相国寺の画僧・如拙と周文、室町水墨画の巨匠と称される雪舟、江戸時代の相国寺文化に深く関わった狩野探幽。そして奇想の画家・伊藤若冲、原在中など、室町から現代にいたるまで、相国寺文化圏が生み出してきた美の歴史を、名品にまつわる物語とともにひもとく展覧会。
京都市の中心部に位置する相国寺は、金閣寺、銀閣寺の通称で名高い鹿苑寺、慈照寺を擁する臨済宗相国寺派の大本山であり、相国寺、鹿苑寺、慈照寺が所有する美術品は、相国寺境内にある承天閣美術館で公開されてきた。
相国寺承天閣美術館開館40周年を機に開催される本展では、国宝、重要文化財40件以上を含む相国寺派の名品を中心に、5つの章立てで展開する。
「吾れ、新たに小寺を建てんと欲す」── 将軍・足利義満が発した一言で、相国寺の歴史は始まった。
「第1章 創建相国寺 ―将軍義満の祈願」では、勧請開山に迎えられた
続く「第2章 中世相国寺文化圏 ― 雪舟がみた風景」では、若き日を相国寺で過ごしたとされ、のちに室町水墨画の巨匠と称される雪舟がみた中世相国寺文化圏の風景を展望する。
中世の相国寺文化圏を代表するビッグネームが「雪舟」であるとすれば、近世の相国寺の文化に賑わいを添えたのは「若冲」と言えるだろう。
「第4章 新奇歓迎! 古典礼賛! ― 若冲が生きた時代」では、重要文化財《鹿苑寺大書院障壁画 一之間 葡萄小禽図》(伊藤若冲筆)などを展開。人の交流や、ものの往来を通して、多層的に構築される相国寺文化の新時代を再現する。
そのほかの章では、後水尾天皇が寄進したという記録がのこる、狩野三兄弟による合作《観音猿猴図》(狩野探幽筆、狩野尚信筆、狩野安信筆)や、近世や近代に寄進などの新規受入により相国寺の
また、近年相国寺に加わった、花の模様が浮かび上がる天目茶碗、国宝《玳玻盞 散花文天目茶碗》や、全長4メートルの大作、重要文化財《大瀑布図》(円山応挙筆)など、今後、相国寺で活かされ、価値を見いだされ、什物措定の履歴を積み重ねていく作品も展示される。
会期中は、一部展示替えが行われるので、前期・後期と併せて足を運ぶことをお勧めする。
相国寺で受け継がれた名品の数々を、東京に居ながらにして観ることができる、またとない機会となるだろう。
展覧会名 | 相国寺承天閣美術館開館40周年記念 相国寺展―金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史 |
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会期 | 2025年3月29日(土)〜5月25日(日) ※会期中、一部展示替えあり 前期:3月29日(土)〜4月27日(日) 後期:4月29日(火・祝)〜5月25日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし5月5日は開館)、5月7日(水) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京藝術大学大学美術館 台東区上野公園12-8 |
入館料 | 一般 2,000円、高大生 1,200円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://shokokuji.exhn.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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