初めて見る絵なのに、懐かしい
流れるように変化しつづける横尾忠則の現在を観る
様々な手法と様式を駆使し、多岐にわたるテーマの絵画を生み出し続ける破格の画家・横尾忠則(1936年〜)の展覧会が開催。
150号(約182×227p)を中心とする新作油彩画約60点に、関連作品やスケッチ等も加え、88歳の横尾忠則の現在を紹介する。
1972年のニューヨーク近代美術館での個展開催など、早くから国際的な知名度を得てきた横尾は、その息の長い驚異的な想像力が注目を集めている。
2023年春、からだの衰えを淡々と応じつつ、テーマも決めずに大きなキャンバスに向かううちに、「連歌」ならぬ「連画」制作を始めた横尾は、昨日の自作を他人の絵のように眺め、そこから今日の筆が導かれるままに描き、明日の自分=新たな他者に託して、思いもよらぬ世界がひらけるのを楽しんでいる。
「連画」の起点となったのは、遠い昔に郷里の川辺で同級生たちと撮った記念写真のイメージだ。1970年に篠山紀信が撮影したその写真は、その後22年を経て出た写真集『横尾忠則 記憶の遠近術』に収録され、序文は、1970年に自決した三島由紀夫が遺していた横尾論であった。
因縁深きこの写真にインスピレーションを得て、横尾が1994年に描いた大作、《記憶の鎮魂歌》(横尾忠則現代美術館蔵)から、本展は始まる。
水は横尾にとって重要なモチーフの一つ。多様なイメージが現れては消え、誰も見たことがないのになぜか懐かしくもある光景のもと、生も死も等しく飲みこんで、「連画の河」が流れる。
本展のみどころは、横尾の「連画」のゆくえを見守る楽しみだ。
他者の言葉を引き取りつつ歌を詠み、それをまた別の他者に託すという「連歌」を、絵画によって、しかもひとりだけで、続けることはできるのか、昨日の自分を、本当に他人のように受けとめられるものなのだろうか。
悠々と流れる大河=連画のゆくえを、ほぼ制作されたとおりの順で追いかけ、横尾が川の流れに身を任せるように、この問いをゆったりと楽しんだ様を感じることができる。
視力、聴力、腕力に脚力と、身体のさまざまな能力が衰えるなかでも、横尾の反復は88歳の現在も淡々と続いている。
その日その時の肉体からしか生まれてこない色、筆触、かたちが、150号を中心とする大きな画面に躍り、流れ、変化する王道の「絵画」を全身で味わうことができるのも、本展ならではの魅力だ。
本展チケットを抽選で5組10名様にプレゼントいたします。ご希望の方は下記の応募フォームにご入力いただき送信ください。
なお、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
締切:2025年5月14日(水)
展覧会名 | 横尾忠則 連画の河 |
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会期 | 2025年4月26日(土)〜6月22日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水) |
時間 | 10:00〜18:00 ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 世田谷美術館 1階展示室 世田谷区砧公園1-2 |
入館料 | 一般 1,400円、高大生 800円、小中生 500円、65歳以上 1,200円、未就学児無料 |
公式サイト | https://www.setagayaartmuseum.or.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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