横尾忠則 連画の河

初めて見る絵なのに、懐かしい
流れるように変化しつづける横尾忠則の現在を観る

  • 2025/04/16
  • イベント
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様々な手法と様式を駆使し、多岐にわたるテーマの絵画を生み出し続ける破格の画家・横尾忠則(1936年〜)の展覧会が開催。
150号(約182×227p)を中心とする新作油彩画約60点に、関連作品やスケッチ等も加え、88歳の横尾忠則の現在を紹介する。

1972年のニューヨーク近代美術館での個展開催など、早くから国際的な知名度を得てきた横尾は、その息の長い驚異的な想像力が注目を集めている。
 2023年春、からだの衰えを淡々と応じつつ、テーマも決めずに大きなキャンバスに向かううちに、「連歌」ならぬ「連画」制作を始めた横尾は、昨日の自作を他人の絵のように眺め、そこから今日の筆が導かれるままに描き、明日の自分=新たな他者に託して、思いもよらぬ世界がひらけるのを楽しんでいる。

「連画」の起点となったのは、遠い昔に郷里の川辺で同級生たちと撮った記念写真のイメージだ。1970年に篠山紀信が撮影したその写真は、その後22年を経て出た写真集『横尾忠則 記憶の遠近術』に収録され、序文は、1970年に自決した三島由紀夫が遺していた横尾論であった。
因縁深きこの写真にインスピレーションを得て、横尾が1994年に描いた大作、《記憶の鎮魂歌》(横尾忠則現代美術館蔵)から、本展は始まる。
 水は横尾にとって重要なモチーフの一つ。多様なイメージが現れては消え、誰も見たことがないのになぜか懐かしくもある光景のもと、生も死も等しく飲みこんで、「連画の河」が流れる。

本展のみどころは、横尾の「連画」のゆくえを見守る楽しみだ。
他者の言葉を引き取りつつ歌を詠み、それをまた別の他者に託すという「連歌」を、絵画によって、しかもひとりだけで、続けることはできるのか、昨日の自分を、本当に他人のように受けとめられるものなのだろうか。
悠々と流れる大河=連画のゆくえを、ほぼ制作されたとおりの順で追いかけ、横尾が川の流れに身を任せるように、この問いをゆったりと楽しんだ様を感じることができる。

視力、聴力、腕力に脚力と、身体のさまざまな能力が衰えるなかでも、横尾の反復は88歳の現在も淡々と続いている。
 その日その時の肉体からしか生まれてこない色、筆触、かたちが、150号を中心とする大きな画面に躍り、流れ、変化する王道の「絵画」を全身で味わうことができるのも、本展ならではの魅力だ。

  1. 横尾忠則《ボッスの壺》2024年 作家蔵
    横尾忠則
    《ボッスの壺》
    2024年
    作家蔵
  2. 横尾忠則《連画の河を描く》2023年 作家蔵
    横尾忠則
    《連画の河を描く》
    2023年
    作家蔵
  3. 横尾忠則《連画の河、タヒチに》2024年 作家蔵
    横尾忠則
    《連画の河、タヒチに》
    2024年
    作家蔵
  4. 横尾忠則《The end of life is moral》2024年 作家蔵
    横尾忠則
    《The end of life is moral》
    2024年
    作家蔵
  5. 横尾忠則《点ではなく丸(夜)》2024年 作家蔵
    横尾忠則
    《点ではなく丸(夜)》
    2024年
    作家蔵
  6. 横尾忠則 撮影:田島一成
    横尾忠則
    撮影:田島一成
5組10名様 読者プレゼント

本展チケットを抽選で5組10名様にプレゼントいたします。ご希望の方は下記の応募フォームにご入力いただき送信ください。
なお、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
締切:2025年5月14日(水)

開催概要

展覧会名 横尾忠則 連画の河
会期 2025年4月26日(土)〜6月22日(日)
休館日 月曜日(ただし4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水)
時間 10:00〜18:00
※入場は閉館時間の30分前まで
会場 世田谷美術館 1階展示室
世田谷区砧公園1-2
入館料 一般 1,400円、高大生 800円、小中生 500円、65歳以上 1,200円、未就学児無料
公式サイト https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
問合せ 050-5541-8600 (ハローダイヤル)

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