国際的なアートシーンで注目を集める
複数のアボリジナル女性作家に光をあてた、日本初の展覧会
近年の国際的な現代美術の動向とも呼応し、注目を集めているオーストラリア先住民によるアボリジナル・アート。
アボリジナル女性作家は、今日のオーストラリアのアートシーンを牽引し、国際的な現代美術の舞台でも存在感を高めているが、現代アボリジナル・アートが興隆した1970〜80年代は、女性は作家として認められず、制作の中心は男性であった。
彼女たちはいかにしてその立場を逆転し、後のアボリジナル・アートそしてオーストラリア現代美術の方向性を握るようになったのか。
本展は世代と地域を越えた7名と1組の作家の作品を通し、アボリジナル女性作家にフォーカスすることで見えてくる、オーストラリア現代美術の現在地を読み解く、日本初の展覧会となる。
現代アボリジナル・アートの特徴のひとつに、制作手法や作品のテーマ、そして用いられる素材の多様性が挙げられるが、その豊かな表現力の広がりに、女性作家が大きく貢献している。
バティック、ジュエリー、編み物、ドリーミング(アボリジニが持つ世界観、信仰、文化、そして生活のすべてを包含する概念)を含まない事象的な主題など、それまで芸術作品として受け容れられていなかった創作を、彼女たちは芸術表現に昇華させた。
また、出品作家の中には、社会問題、環境問題、過去の歴史、失われた文化の復興など幅広いテーマを扱い、脱植民地化の言説が進むオーストラリアで、女性作家たちはアートを通して積極的にその実践を試みている。
アボリジナル・アートの多様性は、オーストラリアの広い国土に由来しており、本展の出品作家の地域性は、彼女たちの作品を読み解く鍵のひとつとなる。
伝統文化が深く根付くコミュニティ出身作家からは、80歳を超えた2005年から絵画制作を開始し、約2,000点に及ぶ作品を制作した、マーディディンキンガーティー・ジュワンダ・サリー・ガボリ(1924年頃〜2015年)や、2008年に日本で回顧展が開催され、最も成功したアボリジナル作家のひとり、エミリー・カーマ・イングワリィ(1910年頃〜1996年)などの作品が出品される。
また、現在のアボリジナル人口の8割が住む都市部出身や、都市部を拠点に活躍する作家からは、植民地時代に失われた地域の伝統文化を復興させる活動に、創作をとおして積極的に携わっている、マリィ・クラーク(1961年〜)や、吹きガラスを用いたインスタレーションを得意とし、祖先が経験した植民地時代の出来事や、冷戦期の核実験の場として利用された故郷の大地の姿を伝える、イワニ・スケース(1973年〜)の作品などを紹介する。
展覧会名 | 彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術 |
---|---|
会期 | 2025年6月24日(火)〜9月21日(日) |
休館日 | 月曜日(7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火) |
時間 | 10:00〜18:00(金曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで |
会場 | アーティゾン美術館 6・5階展示室 中央区京橋1-7-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 【ウェブ予約チケット】1,800円 【窓口販売チケット】2,000円 ※高大専門生無料(要ウェブ予約)、中学生以下無料(予約不要) ※日時指定予約制 ※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットを販売 ※上記料金で同時開催の展覧会を全て観覧可 ※詳細は公式サイトのチケット情報をご覧ください |
公式サイト | https://www.artizon.museum/ |
問合せ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。