特別展「江戸☆大奥」

豪華絢爛、優雅に見えるその姿は嘘か誠か
知られざる大奥・真の姿を見る特別展

  • 2025/07/08
  • イベント
  • アート

大奥と聞いて思い浮かべるのは、選ばれた女性たちが豪華絢爛な衣装をまとい、広い江戸城で優雅に暮らす様子か、はたまた世継ぎをめぐる権力争いに翻弄される女性たちの姿か。
娯楽小説や芝居、ドラマなどで描かれてきた想像の姿とは異なる、知られざる大奥の真実を、遺された歴史資料や、ゆかりの品々を通してひも解く展覧会。

本展は4つの章立てで、江戸幕府の隠された歴史ともいえる、大奥の歴史と文化を、その虚実を通して見ることができる。

「第1章 あこがれの大奥」では、大奥での出世のステップを競う遊び《奥奉公出世双六おくぼうこうしゅっせすごろく》(江戸時代 19世紀 前期展示)などの作品を通し、江戸城の奥深くに隠された世界を、あこがれとともに庶民がイメージした「大奥」を紹介。
 この章の目玉は、楊洲周延ようしゅうちかのぶが大奥の女性たちの生活や行事を描いた錦絵《千代田の大奥》40場面を、全期間見ることができることだろう。(期間中、展示替えあり)

続く「第2章 大奥の誕生と構造」では、三代将軍徳川家光の時代に「大奥」の礎を築いたといわれる春日局(斎藤福)と家光との関係や、草創期の大奥を支えた天樹院(千姫)、そして大奥で大きな政治的権力を握り栄枯盛衰を見てきた女中たちを紹介。
 大奥最大の事件ともいわれる『絵島生島事件』で有名な絵島や、十三代将軍家定をはじめとして3代の将軍に仕えた、江戸幕府最後の御年寄・瀧山などのゆかりの品や日記を通して、女中たちの生涯を垣間見ることができる。

世継ぎを生み育て上げる使命を与えられていた将軍の妻妾たちにとって、大奥での生活は常にプレッシャーとの戦いであった。
「第3章 ゆかりの品は語る」では、閉ざされた生活の中で気丈に生きた歴代大奥のヒロインたちを愛用の品々を通して紹介。
 十三代将軍家定の正室、天璋院(篤姫)の搔取は、萌黄色の縮緬地に凛々しさを感じさせる竹と雀の模様に対し、十四代将軍家茂に降嫁した、伝静寛院宮(和宮)のものと伝わる搔取は、白い綸子地の全面に花や源氏車が刺繍や摺匹田で表されている、華やかで雅なもの。ゆかりの品一つひとつにあらわれる個性も楽しみたい。
 また、この章では、五代将軍綱吉が側室である瑞春院(お伝の方)に贈ったといわれる、重要文化財 奈良・興福院の刺繡掛袱紗全31枚(会期中、展示替えあり)も大きな見どころだ。

最後の「第4章 大奥のくらし」では、大奥に生まれた将軍の息女や、大奥に迎え入れられた御台所たちがどのような日々を過ごしていたのか、四季折々の衣装や調度品を紹介。珍しいところでは、十一代将軍家斉の時代に活躍した女性の歌舞伎役者、坂東三津江が、大奥で歌舞伎を演じた際に用いた衣装の数々が展示されており、豪華絢爛な舞台の様子をうかがうことができる。

また本展では、「上様のおな〜り〜」の掛け声とともにドラマなどでおなじみの、御鈴廊下のセットが再現されているのも、大奥ファンにはたまらないだろう。
 大奥の象徴ともいえるこの廊下も、ドラマや映画の世界と、大奥の見取り図を表わした歴史資料とを比較し、どのような違いがあるのか、考えてみるのも楽しいだろう。

  1. 『千代田の大奥』より「千代田大奥 御花見」楊洲周延筆 明治27年(1894) 東京国立博物館蔵 ※会期中、展示替えがあります。
    『千代田の大奥』より「千代田大奥 御花見」
    楊洲周延筆
    明治27年(1894)
    東京国立博物館蔵
    ※会期中、展示替えがあります。
  2. 奥奉公出世双六 万亭応賀作、歌川国貞(三代豊国)筆 江戸時代 19世紀 東京都江戸東京博物館蔵 前期展示:7/19(土)〜8/17(日)
    奥奉公出世双六
    万亭応賀作、歌川国貞(三代豊国)筆
    江戸時代 19世紀
    東京都江戸東京博物館蔵
    前期展示:7/19(土)〜8/17(日)
  3. 重要文化財 刺繡掛袱紗 浅葱繻子地杜若と撫子に酒器「長生」字模様 瑞春院(お伝の方)所用 江戸時代 17〜18世紀 奈良・興福院(奈良市)蔵 前期展示:7/19(土)〜8/17(日)
    重要文化財
    刺繡掛袱紗ししゅうかけふくさ 浅葱繻子地杜若あさぎしゅすじかきつばた撫子なでしこ酒器しゅき長生ちょうせい字模様じもよう
    瑞春院(お伝の方)所用
    江戸時代 17〜18世紀
    奈良・興福院(奈良市)蔵
    前期展示:7/19(土)〜8/17(日)
  4. 小袿 萌黄地葵唐草筥牡丹紋二陪織物 天璋院(篤姫)所用 江戸時代 19世紀 東京・公益財団法人 コ川記念財団蔵 9月2日(火)〜9月21日(日)
    小袿こうちぎ 萌黄地葵唐草筥牡丹紋二陪織物もえぎじあおいからくさはこぼたんもんふたえおりもの
    天璋院(篤姫)所用
    江戸時代 19世紀
    東京・公益財団法人 コ川記念財団蔵
    9月2日(火)〜9月21日(日)
  5. 竹菱葵紋散蒔絵婚礼調度 鶴樹院(豊姫)所用 文化13年(1816) 東京国立博物館蔵 通期展示
    竹菱葵紋散蒔絵婚礼調度たけびしあおいもんちらしまきえこんれいちょうど
    鶴樹院(豊姫)所用
    文化13年(1816)
    東京国立博物館蔵
    通期展示

開催概要

展覧会名 特別展「江戸☆大奥」
会期 2025年7月19日(土)〜9月21日(日)
※会期中、一部展示替えあり
休館日 月曜日(ただし7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日(火)
時間 9:30〜17:00(金・土曜日、7月20日、8月10日、9月14日は20:00まで開館)
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 東京国立博物館 平成館
台東区上野公園13-9
>> 会場の紹介記事はこちら
観覧料 一般 2,100円、大学生 1,300円、高校生 900円、中学生以下・障がい者とその介護者1名は無料
※詳細はこちらをご確認ください
公式サイト https://ooku2025.jp/
問合せ 050-5541-8600 (ハローダイヤル)

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