国内外50を超えるアーティストの実践を通して、
時代のリアリティを映し出す表現に光をあてる展覧会
昭和から平成へと移り変わった1989年から2010年までの約20年の期間に、日本でどのような美術が生まれ、日本からどのような表現が発信されたのか。
本展は、国立新美術館のアジア地域におけるパートナー美術館である、香港のM+との協働キュレーションにより、国内外の50を超えるアーティストの実践を検証し、変化に富んだ時代を見つめ直す。
今回光を当てる約20年間は、冷戦体制の終結とグローバル化の進展により人やモノの移動が活発化し、国際的な対話が促進された時代であった。
日本では美術館の開館ラッシュや芸術祭の活況、アーティスト・イン・レジデンスの普及など、美術を支える土壌が豊かになり、アーティストたちの数多くの実験的挑戦は、時代や社会の動向をとりこむプリズムとなって、さまざまな問いかけを含んだ作品へと反射されていった。
本展は、そのような転機のなかで日本のアートシーンを彩った革新的な表現にフォーカスする。
「プロローグ」「イントロダクション」に続く三つの章で構成されており、「戦争の記憶に向き合い読み直す視点」「ジェンダー、ナショナリティ、日本文化の再解釈」「共同体や新しい関係性の可能性を探る」などのテーマを通し、複数の視点を横断的に体験することができる。
「レンズ1:過去という亡霊|Curatorial Lens 1: The Past is a Phantom」では、過去の重みをふまえながら歴史を再考してきた戦後生まれのアーティストによる、戦争や核、植民地支配の記憶に向き合う作品を通して、単一と思われた歴史から異なる読みときを導き出す。
洗練された伝統文化と斬新で奇抜な現代の文化が混在する日本は、国内だけでなく海外で活動するアーティストたちも触発した。
「レンズ2:自己と他者と|Curatorial Lens 2: Self and Others」では、ジェンダーやナショナリティ、文化的ヒエラルキーに挑む表現や再解釈された日本文化を映し出す作品を紹介し、アイデンティティの問いを浮き彫りにする。
続く「レンズ3:コミュニティの持つ未来|Curatorial Lens 3: A Promise of Community」では、地域社会や既存のコミュニティとの関わりを模索し、新たに人々と社会とのつながりや関係性を構築していくプロジェクトの可能性に目を向ける。
本展の出品作家には、会田誠、奈良美智、森村泰昌、村上隆、石内都、ダムタイプ、やなぎみわ、風間サチコなど、日本を代表するアーティストに加え、蔡國強、マシュー・バーニー、ピエール・ユイグなど国際的に活躍する作家も名を連ねる。
展覧会名 | 時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010 |
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会期 | 2025年9月3日(水)〜12月8日(月) |
休館日 | 火曜日(ただし9月23日は開館)、9月24日(水) |
時間 | 10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで) ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E 港区六本木7-22-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 2,000円、大学生 1,000円、高校生 500円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://art.nikkei.com/prismofthereal/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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