開館20周年特別展 円山応挙―革新者から巨匠へ

日本画に革新をもたらした巨匠の神髄にふれる作品が勢ぞろい
応挙と若冲の合作屛風は東京で初公開!

  • 2025/09/11
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  • アート

18世紀京都画壇の改革者であった円山応挙(1733〜1795年)が、「改革者」から「巨匠」になってゆく歩みを重要な作品を通して紹介する展覧会。
 応挙の傑作、国宝《雪松図屏風》や重要文化財《藤花図屏風》、三井家が援助したこんぴらさんの襖絵、東京初公開となる伊藤若冲との合作などが一堂に会する、貴重な機会となる。

近年、同時代を生きた伊藤若冲などの“奇想の画家”たちに焦点が当たりがちだが、じつは応挙こそが、18世紀京都画壇の革新者であった。
 応挙の写生を基に構成する絵画手法は、それまでの日本の絵画にはみられない斬新な制作法であり、当時の鑑賞者にとって、それまで見たこともないヴァーチャル・リアリティーのように、眼前に迫ってきたのだ。

応挙の画風は瞬く間に京都画壇を席巻し、当代随一の人気画家となった。多くの弟子たちが応挙を慕い近現代まで続く円山四条派を形成し、応挙の画法は現代の日本画壇にまで受け継がれている。
現代の私たちには「見慣れた日本画」に見えるかもしれない応挙の画風だが、本展を観ればそれが現代まで受け継がれている理由がわかるだろう。

本展の目玉の一つでもある、陽光に煌めく新春の雪景色を描いた作品、国宝 《雪松図屏風》は、近づいて細部を観る前にぜひ、少し離れた所から観てほしい。松の陰影と雪の明るさとのコントラスト、光の描写が生みだす立体感に驚くはずだ。この作品を観た当時の人の目には、まるで雪を抱く松がそこにあるように見えたのではないだろうか。

また、「こんぴらさん」の愛称で親しまれる香川・金刀比羅宮の襖絵、重要文化財《遊虎図(16面の内)》と重要文化財 《竹林七賢図》が特別出品となっていることも見逃せない。
 常に写生帖を持ち歩く写実の画家として知られる応挙であったが、絵の題材になる機会は多かったものの当時の日本に虎はいなかったため、虎の毛皮を見て《遊虎図》を描いた。実物の虎を見ていないとは思えないほどの、虎の動きや毛並みのモフモフ感に注目して観てほしい。

2024年10月、円山応挙と伊藤若冲(1716〜1800年)の初の合作屛風が発見され大きな話題となったが、本展にて東京初公開となるのも見どころの一つとなる。
 そのほか、応挙の多彩な人物表現がうかがえる《大石良雄図》や《江口君図》、思わず触れたくなるようなうさぎや子犬を描いた《木賊兎図》や《雪柳狗子図》などを紹介し、「写生の祖」といわれる応挙の神髄にふれることができる。

  1. 国宝 「雪松図屏風」 円山応挙筆 江戸時代・18世紀 三井記念美術館 【展示期間:9月26日〜10月26日、11月11日〜24日】
    国宝 「雪松図屏風」
    円山応挙筆
    江戸時代・18世紀
    三井記念美術館
    【展示期間:9月26日〜10月26日、11月11日〜24日】
  2. 「竹鶏図屏風」 伊藤若冲筆 寛政2年(1790)以前 個人蔵
    「竹鶏図屏風」
    伊藤若冲筆
    寛政2年(1790)以前
    個人蔵
  3. 「梅鯉図屏風」円山応挙筆 天明7年(1787) 個人蔵
    「梅鯉図屏風」
    円山応挙筆
    天明7年(1787)
    個人蔵
  4. 「雪柳狗子図」 円山応挙筆 安永7年(1778) 個人蔵
    「雪柳狗子図」
    円山応挙筆
    安永7年(1778)
    個人蔵

開催概要

展覧会名 開館20周年特別展 円山応挙―革新者から巨匠へ
会期 2025年9月26日(金)〜11月24日(月・振休)
※会期中、展示替えあり
休館日 10月27日(月)
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 三井記念美術館
中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7F
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 1,800円、高大生 1,300円、70歳以上(要証明) 1,500円、中学生以下無料
公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/
問合せ 050-5541-8600 (ハローダイヤル)

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