静嘉堂文庫美術館（静嘉堂＠丸の内）開館3周年を迎え、静嘉堂が誇る東洋絵画の名品が一堂に会する特別展が開催。
 大阪・関西万博にちなみ、20世紀初頭の博覧会に出品した岩�ｱ家（静嘉堂）所蔵の琳派や肉筆浮世絵、近代絵画などを皮切りに、国宝3件、重要文化財17件、重要美術品、そして菊池（きくち）容斎（ようさい）の巨大絵をはじめとする未来の国宝と評判の作品たちが丸の内に登場する。

4章構成となる展覧会の第1章では、静嘉堂を創設した岩�ｱ家と博覧会の関わりに焦点を当て、1900年のパリ万博から1970年の大阪万博まで、岩�ｱ彌之助・小彌太父子が出品した琳派、浮世絵、工芸品などが紹介される。博覧会を通じて世界に発信された日本美術の軌跡が、静嘉堂のコレクションを通じて浮かび上がる。

続く第2章では、中国宋・元の文人画や室町時代の水墨画など、修理後初公開となる重要文化財10件が並び、詩書画が一体となった東洋絵画の魅力に迫る。
 東洋画は、紙や絹に墨や染料や顔料を用いて描かれているため、百年に一度、手当を必要とする。修理後美しく蘇った画面を、詩と共に味わうことで、詩と絵が響き合う深遠な世界を楽しむことができる。

第3章では、幕末から明治期にかけて活躍した菊池容斎の巨大掛軸が登場。歴史画の先駆者として知られる容斎の代表作「呂后斬戚夫人図」（前期展示）「馮昭儀当逸熊図」（前期展示）は、いずれも2×1.5mの大画面に壮大な物語を描き出す。また、中国明代の画家・謝（しゃ）時臣（じしん）による四幅対《四傑四景図》との競演も見逃せない。
 後期は、近年修理を終えた二つの重要文化財の屛風、伝周文《四季山水図屛風》と式部輝忠《四季山水図屛風》との競演を観ることができる。

そして第4章では、静嘉堂が誇る国宝が展示される。南宋時代の《曜変天目（稲葉天目）》や《風雨山水図》（後期展示）、元代の文人・趙孟頫による《与中峰明本尺牘》など、東洋美術の粋が集結。岩�ｱ家の審美眼と収集力が生んだ珠玉のコレクションが、未来へと受け継がれる文化財として輝きを放つ。
未来の国宝と名高い、渡辺崋山「月下鳴機図」（前期展示）と、それを小彌太が丁寧に摸写し、松方正義（1835〜1924年）が詩を添え双幅とした作品をあわせて観ることができることも、貴重な機会となるだろう。

本展は前期（10月4日〜11月9日）と後期（11月11日〜12月21日）でほぼ全作品が入れ替わるので、何度訪れても楽しめる構成となっている。

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※すべて、静嘉堂文庫美術館蔵