名画の世界を追体験
美術館で「聖地巡礼」を楽しめる展覧会
映画、小説、漫画やアニメなどの舞台になった場所を訪れる「聖地巡礼」。
画題となった土地や、画家と縁の深い場所を「聖地」とし、美術館に居ながらにして「聖地巡礼」を味わえると好評を博した「日本画聖地巡礼」展の第2弾が、満を持して開催される。
本展では、2019年放送のNHK大河ドラマでオープニングのタイトルバックに登場した、山口晃《東京圖 1・0・4輪之段》が、山種美術館の所蔵品となって以来、初めての展示となるほか、日本を飛び出し海外の「聖地」を楽しむこともできるなど、見どころが盛りだくさんとなる。
本展の目玉の一つ、昭和以降の作品として初めて重要文化財に指定された、速水御舟《名樹散椿》【重要文化財】は、京都・椿寺地蔵院の名木「五色八重散椿」を描いた作品だ。
加藤清正が朝鮮から持ち帰り、豊臣秀吉も愛したという椿は、当時樹齢400年を超える古木で、御舟が実際に見た姿は花がぎっしりと咲いていたと思われるが、すっきりと迫力ある枝ぶりで描かれている。画家の創意工夫をたどることができるのも楽しみの一つだ。
また、同館で人気の東山魁夷「京洛四季シリーズ」も観ることができる。
春のやわらかな光を通して見る鷹ケ峰の力強い稜線を背景に、桜が匂うように咲く《春静》、常緑樹の爽やかな色彩と、木の影が映る水辺が清涼感を感じる《緑潤う》の修学院離宮、燃えるように鮮やかな紅葉と、紫がかった青い山とのコントラストが美しい《秋彩》の小倉山、魁夷が定宿としていたホテルから、除夜の鐘が鳴り響く京の町を描いた《年暮る》。いずれも美術館で聖地巡礼をした後に、実際の風景を見に出かけたくなる作品だ。
また、NHK大河ドラマのオープニングに採用されたことでも話題となり、山種美術館が所蔵後、初の展示となる、山口晃《東京圖 1・0・4輪之段》も見逃せない。日本の伝統的絵画の様式を用い、油絵という技法を使って描く山口の描いた東京は、皇居を中心に東京の風景が山口独自の鳥瞰図で描かれ、まるで上空から東京の景色を見ているような気持ちになる。「今、自分がいるところはどの辺りかな?」「あの建物はどこにある?」など探しながら観るのも楽しいだろう。
今回は日本だけではなく、千住博《ピラミッド「遺跡」》や、竹内栖鳳《城外風薫》など、世界各国の「聖地巡礼」も楽しめる。
秋の行楽シーズンに名だたる画家たちが描いた絵画で、国内外の「聖地」を巡ってみてはいかがだろうか。
展覧会名 | 【特別展】日本画聖地巡礼2025−速水御舟、東山魁夷から山口晃まで− |
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会期 | 2025年10月4日(土)〜11月30日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし10月13日、11月3日・24日は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)・25日(火) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 山種美術館 渋谷区広尾3-12-36 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,400円、高大生 1,100円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要) ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | http://www.yamatane-museum.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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