大西茂 写真と絵画

数理を究め、激しく躍動する造形表現を探求した鬼才・大西茂の全貌を紹介する展覧会

  • 2026/01/20
  • イベント
  • アート

数学・写真・絵画を越境する独自の芸術で、国際的に活躍した「戦後日本美術の鬼才」大西茂(1928〜94年)。数理を究め、躍動する造形表現を探求した大西の全貌に迫る展覧会が開催。

岡山県に生まれた大西は、北海道大学で数学を研究するかたわら、位相数学(トポロジー)を応用した独自の創造を追求した。
 1955年に東京で初個展を開催し、瀧口修造や芳賀徹など多くの評論家たちに高く評価された後、ミシェル・タピエに見出されてアンフォルメルの潮流に合流。活動の場をイタリアやフランスヘと広げていった。

ただひたすら“求道”の制作に没頭した大西は、生前の人的交流が希薄だったこともあり、没後しばらくの間、彼の芸術が広く語り継がれることはなかった。
しかし、2010年代に日本とフランスで写真展が開催されたことをきっかけに、欧米の美術史研究者やキュレーターたちの眼にとまり、再評価の機運が高まった。
 現在ではニューヨークMoMAに写真作品が収蔵されるなど、海外で高く評価されている大西の、日本の美術館では初の回顧展となる。

本展の見どころの一つは、圧倒的な存在感を放つ墨の抽象画だ。
戦後日本が躍動を始めた1950年代、日本美術界ではミシェル・タピエが唱導する「アンフォルメル」旋風が日本美術界に吹き荒れていた。
 タピエに見いだされて世に紹介され、同時代の評論家たちを瞠目させた大西の絵画は、縦横無尽に走る怒涛のような線のうねりが圧巻の見ごたえだ。

リアリズムやジャーナリズムが写真の主流とみなされた時代に、多重露光、ソラリゼーション(白黒反転)、沸騰した現像液の不均一な塗布など、さまざまなテクニックを自己流で組み合わせた大西の写真は、激しく錯綜したイメージを作り出し、まさに「規格外」であった。彼の数学研究の核心にある難解な概念―「超無限」を直観させる、超越的なビジュアルは、今の私たちが見ても斬新で不思議なものばかりだ。
「写真制作とはかくあるべし」と、写真評論家たちを唸らせた表現の数々は見逃せない。

本展は、大西の全仕事が見られる日本初の展覧会であり、資料も含めた紹介は世界初となる。
2010年代以降、その重要性が指摘され、アムステルダムFOAMでは写真展が、バレンシアBombas Gens Centre d’Artでは写真と絵画による個展が開催されるに至る大西の、選りすぐりの作品が展示されるほか、本展では彼のもう一つの「表現」である数学研究の遺稿をはじめとした豊富な資料も展示して、その全貌を明らかにする絶好の機会となる。

  1. 《セルフポートレート》1950-60年代
    《セルフポートレート》
    1950-60年代
  2. 《題不詳》1950年代
    《題不詳》
    1950年代
  3. 《題不詳》1950年代
    《題不詳》
    1950年代
  4. 《題不詳》1950-60年代
    《題不詳》
    1950-60年代
  5. 《題不詳》1962年頃
    《題不詳》
    1962年頃
  6. ※全て、©Estate of Shigeru Onishi, courtesy of MEM

開催概要

展覧会名 大西茂 写真と絵画
会期 2026年1月31日(土)〜3月29日(日)
休館日 月曜日(ただし2月23日、3月23日は開館)、2月24日(火)
時間 10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 東京ステーションギャラリー
千代田区丸の内1-9-1
入館料 一般 1,300円、高大生 1,100円、中学生以下無料
※詳細はこちらをご確認ください
公式サイト https://www.ejrcf.or.jp/gallery/
問合せ 03-3212-2485

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。