
「最後の浮世絵師」小林清親の画業を通して、新版画の姿に迫る
スミソニアン博物館群のひとつである国立アジア美術館から、選りすぐりの浮世絵・新版画・写真約130点を紹介する本展。ロバート・O・ミュラー(1911〜2003年)が蒐集、寄贈したコレクションにより、小林清親(1847〜1915年)から吉田博(1876〜1950年)、川瀬巴水(1883〜1957年)らに至る風景版画の流れを辿る。
明治になると、文明開化を伝えるジャーナリスティックな役割を得た浮世絵は、一方で、新しい技術やメディアの台頭により徐々に衰退を迎える。このような浮世絵の「黄昏(トワイライト)」の時代に、最後の浮世絵師のひとりとして活躍したのが小林清親だ。
清親が1876(明治9)年に開始した『東京名所図』は、明治期の風景版画へ大きな変革をもたらした。薄暮や闇にきらめく光の繊細な表情を描いた清親の作品は「光線画」と呼ばれ、深い陰影により江戸の情緒まで捉えている。この視点は、失われゆく江戸の面影を惜しむ人々の感傷や、それらを記録しようとする写真の意欲とも重なっており、同時代の浮世絵師たちが文明開化により変貌していく都市を、鮮やかな色彩によって楽天的に捉えた開化絵とは一線を画するものだった。本展の前半では、浮世絵黄昏の時期にあって、黄昏に代表される陰翳のなかの光の繊細な変化を描いた清親に焦点を当てる。
後半では、衰退していく浮世絵の技術を憂いて、新しい時代の版画を創造しようとした版元の渡邊庄三郎(1885〜1962年)の活動と、彼のもとに集まった画家たちの作品を中心に紹介。自らが版元となった渡邊は、清親の見出した江戸東京にまつわる郷愁を引き継ぎ、絵師や来日した外国人画家たちと協働して新版画の活動を展開した。彼らの手がけた伊東深水の『近江八景』、川瀬巴水の『旅みやげ第一集』、『東京十二題』といった初期のシリーズを取り上げる。
また、光と陰翳によって外界を映し込む写真は、明治の新しい視覚として人々の意識に多大な影響を及ぼし、浮世絵にも写真を意識した表現が様々に試みられた。当時の日本人の姿や風俗を記録した写真は、それを持ち込んだ外国人たちにとっては好奇の視線の対象でもあったが、同時に江戸の生活と情趣の貴重な記録でもあった。本展では、こうした浮世絵と写真の織りなす複雑な関係も紐解いていく。
清親が近代木版画の制作に与えた革新的な影響、写真技術の普及が版画業界にもたらした変化、そしてその逆に版画が写真技術に与えた影響を、この機会にぜひ観ておきたい。
アンケートにご協力いただいた方の中から抽選で、本展チケットを2組4名様にプレゼントいたします。ご希望の方は下記の応募フォームにご入力いただき送信ください。
なお、当選発表は発送をもってかえさせていただきます。
締切:2026年2月25日(水)
| 展覧会名 | トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで |
|---|---|
| 会期 | 2026年2月19日(木)〜5月24日(日) |
| 休館日 | 祝日・振休を除く月曜日(ただし3月30日、4月6日、4月27日、5月18日は開館) |
| 時間 | 10:00〜18:00(祝日を除く金曜日、第2水曜日、会期最終週平日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
| 会場 | 三菱一号館美術館 千代田区丸の内2-6-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
| 観覧料金 | 一般 2,300円、大学生 1,300円、高校生 1,000円 ※詳細はこちらをご確認ください |
| 公式サイト | https://mimt.jp/ex_sp/shin-hanga/ |
| 問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。