開館85周年記念特別展「光琳派 国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロワーたち」

里帰り作品とともにたどる、知られざる「光琳派」の全貌

  • 2026/04/08
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日本の絵画史上にそのデザイン性の高い画風で大きな足跡を残す琳派。国宝《燕子花図屏風》の作者である尾形光琳(1658〜1716年)と、その周辺で活動した画家や陶芸家に焦点を当てた展覧会が根津美術館で開催される。
 琳派は、俵屋宗達(生没年不詳)から光琳、さらに酒井抱一(1761〜1829年)へと憧れによって継承されたと説明される。本展では特に、光琳に直接あるいは間接に連なるフォロワーたちの作品を紹介。アメリカ・クリーブランド美術館からの里帰り作品も含め、知られざる「光琳派」の姿に新しい光を当てる。

光琳の一番弟子とされる渡辺始興(1683〜1755年)は、狩野派の画技を身につけた後、乾山焼の絵付けに携わりながら光琳に師事し、その制作を助けるまでになる。一方で、本草学に通じた公家の近衛家煕このえいえひろに仕えたことで、動植物の写生にも秀でていた。《燕子花図屏風(渡辺始興筆)》に見られる、総金地に燕子花のみを描く発想は光琳画に基づきつつ、花の構造を明瞭に描き出す表現には、動植物の写生に長じた始興の個性を見ることができる。

光琳の弟である尾形乾山(1663〜1743年)は陶芸家として知られ、光琳と協働でデザイン性に富む陶芸作品を作り出した。また、近年では始興の乾山焼への関与が確実視されており、《銹絵山水図八角皿さびえさんすいずはっかくさら》は、始興絵付けの可能性が高いとされている。

さらに江戸で乾山に学んだ立林何帠たてばやしかげい(生没年不詳)は、「光琳三世」ともみなされ、江戸琳派の形成に一定の役割を担った人物である。めでたい松を戴き、ゆかりのある梅を背にする《天神図》は、意匠化された琳派風の表現と大らかな造形が魅力だ。
 一方、光琳のもう一人の弟子である深江芦舟ふかえろしゅう(1699〜1757年)は宗達やその後継者たちの作風を慕い、『伊勢物語』を題材とした《蔦の細道図屏風》や《四季草花図屏風》に独特の構図感覚が示されている。

この季節はこれらの作品とともに、カキツバタの咲く庭園も楽しむことができる。作品と季節の景観をあわせて味わいながら、知られざる「光琳派」の広がりに触れてみては。

  1. 国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 紙本金地着色 江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
    国宝
    燕子花図屏風 尾形光琳筆
    紙本金地着色
    江戸時代 18世紀
    根津美術館蔵
  2. 燕子花図屏風 渡辺始興筆 紙本金地着色 江戸時代 18世紀 クリーブランド美術館蔵
    燕子花図屏風 渡辺始興筆
    紙本金地着色
    江戸時代 18世紀
    クリーブランド美術館蔵
  3. 銹絵山水図八角皿 尾形乾山作 日本・江戸時代 18世紀 個人蔵
    銹絵山水図八角皿
    尾形乾山作
    日本・江戸時代
    18世紀
    個人蔵
  4. 天神図 立林何帠筆 紙本着色 日本・江戸時代 延享2年(1745) 永青文庫蔵
    天神図
    立林何帠筆
    紙本着色
    日本・江戸時代
    延享2年
    (1745)
    永青文庫蔵
  5. 重要文化財 四季草花図屏風 深江芦舟筆 紙本着色 日本・江戸時代 18世紀 福田美術館蔵
    重要文化財
    四季草花図屏風
    深江芦舟筆
    紙本着色
    日本・江戸時代
    18世紀
    福田美術館蔵

開催概要

展覧会名 開館85周年記念特別展「光琳派 国宝『燕子花図』と尾形光琳のフォロワーたち」
会期 2026年4月11日(土)〜5月10日(日)
休館日 月曜日(ただし5月4日は開館)
時間 10:00〜17:00(5月5日〜10日は19:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 根津美術館
港区南青山6-5-1
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 【オンライン日時指定予約】一般 1,800円、学生 800円
【当日】一般 2,000円、学生 1,000円
※高校生以下無料
※詳細はこちらをご覧ください
公式サイト https://www.nezu-muse.or.jp/
問合せ 03-3400-2536

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