
「美術のなかの文字」から親しむ、東洋古美術の世界
東洋古美術は西洋美術に比べて敷居が高いという声に応えるため、根津美術館では2016年から、古美術の技法やテーマをやさしく解説する企画展示「はじめての古美術鑑賞」シリーズを定期的に開催してきた。
6回目の開催となる本展では、「よめない」と敬遠されがちな書作品そのものから離れ、画家の署名や印である落款、自筆・他筆による賛、屏風絵や絵巻の景色の中に組み込まれた和歌、仏画のなかの文字、銘文や器物の文様など、「美術のなかの文字」に注目する。
絵のなかにある文字で第一に重要なのは、画家の署名や印である「落款」だろう。しかし、仏画をはじめ古い絵画には無落款のものが多く、捺された印が将軍や大名などが所蔵したことを示す鑑蔵印のこともあり、鑑賞する際の要注意ポイントだ。
絵の上部や空間に書き込まれた詩文や和歌などは「賛」と呼ばれ、多くは依頼された他人が書いたものであり、画家がみずから記したものは「自画賛」と呼ばれる。室町時代に流行した詩画軸の中には、30人もの禅僧が賛を加えた作品も存在する。
平安時代中期には、描かれた名所や景物に合わせて和歌を詠み絵の中に書き込むことが流行した。そうした伝統を踏まえた絵と和歌の二重奏とも呼ぶべき作品が、鎌倉時代の絵巻や近世の屏風絵のなかに見られる。本展では、《鏡山図》《草花図》《紅梅図》《海浜図》の類品4幅を初めて同時公開する。
仏画に書き込まれる文字には、経典からの引用や多数の尊像を見分けるための名札などがあり、
絵画の落款に相当するのが工芸の「銘文」であり、その歴史は中国古代の青銅器にまでさかのぼる。作者や所有者の名だけでなく、制作の目的や出資者、用いる場所などを表記したものもあり、作品の来歴を知る重要な鍵となる。
身のまわりの道具や器にも文字があり、特に文房具には詩歌をデザインしたものが多い。なかには、絵の中に隠した数文字から1首の和歌を連想させるものも存在する。「寿」「福」などの文字は、吉祥文として器に施された。
また、他展示室では同時開催展として、小金銅仏と仏像が表された銅製の仏具、青銅器コレクション、蒔絵や季節の茶道具の展示も行われる。
「美術のなかの文字」に注目することで、その魅力や役割をあらためて実感し、東洋古美術に親しむきっかけとなるだろう。
| 展覧会名 | 企画展 はじめての古美術鑑賞 −美術のなかの文字− |
|---|---|
| 会期 | 2026年5月30日(土)〜7月12日(日) |
| 休館日 | 月曜日 |
| 時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
| 会場 | 根津美術館 港区南青山6-5-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
| 入館料 | 【オンライン日時指定予約】一般 1,400円、学生 600円 【当日】一般 1,600円、学生 800円 ※高校生以下無料 ※詳細はこちらをご覧ください |
| 公式サイト | https://www.nezu-muse.or.jp/ |
| 問合せ | 03-3400-2536 |
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