創設90年記念 柳宗悦と日本民藝館

開館当時の空気感とともに、日本民藝館誕生までの道のりをひもとく

  • 2026/05/19
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創設90年を迎える日本民藝館にて、設立までの道のりと新たな美の概念を提示した「日本民藝館」という美術館の存在を見つめ直す展覧会が開催される。

『時充ちて、志を同じくする者集り、ここに「日本民藝美術館」の設立を計る(1926年)』という宣言から始まる「日本民藝美術館設立趣意書」。日本民藝館創設者の柳宗悦やなぎむねよし(1889〜1961年)、陶芸家の河井寛次郎(1890〜1966年)、濱田庄司(1894〜1978年)によって、前年末に「民藝」という言葉が作られたことを受け起草された。無名の職人による平凡な「下手げてもの」にこそ非凡な美が宿る、という柳の逆説的な主張は、多くの賛同者を得て全国へと広がった。

本展は、「再現」「道のり」「設計」「表装案」の4つのテーマで構成される。
 1936年10月24日に開館した日本民藝館では、大広間(1982年に建替)で11月15日まで「新作工藝展」が開催されていたが、その記録はほとんど残されていない。しかし、創設時の建物が今でも残る本館で開かれた常設展は、当時の資料により一部復元することが可能だ。本館で展開する「再現」では、開館時の常設展の空気感を再現する。

新館回廊では「道のり」をテーマに展示。日本民藝館は、設立趣意書の刊行から設立までに約10年が費やされている。理想の美術館建設のために柳が歩んだ道のりを、書籍や雑誌、日本民藝館の前身である日本民藝美術館による展覧会資料、関西での民藝運動の拠点・三國荘の旧蔵品などにより、その前史も含め紹介する。

新館大展示室と本館では、「設計」「表装案」をテーマに展開する。柳の設計思想は、建物の基本設計から空間を彩る細部まで一貫性を持ち、壁紙、陳列ケース、照明器具やカーテンなど内装の設えは、建物と共鳴して独特な空間となっている。その徹底した美意識は所蔵品の管理方法にまで及び、色別に染め上げた和紙の登録札は、実用と意匠を融合させた柳の「包括的設計」の象徴とも言える。
 また、絵画や染織を現代の眼で見るという立場から、柳は古い作品に新たな装いを施し、美術館での展示に相応しい形にしている。作品の魅力を最大限に引き出すために素材と色彩、その取合せを吟味した表装案の数々を、資料を交えて紹介する。

趣意書の刊行から100年、創設から90年を迎える日本民藝館。開館当時の空間再現や設計思想を通して、「民藝」という美の思想と「日本民藝館」の成り立ちに触れてみては。

  1. 日本民藝館での柳宗悦 1948年
    日本民藝館での柳宗悦
    1948年
  2. 本館常設展示 1936年11月〜37年2月撮影
    本館常設展示
    1936年11月〜37年2月撮影
  3. 雑誌『工藝』創刊
    雑誌『工藝』創刊
  4. 日本民藝館設計スケッチ 柳宗悦 1935年
    日本民藝館設計スケッチ
    柳宗悦
    1935年
  5. 柳宗悦表装裂コレクション
    柳宗悦表装裂コレクション
  6. 寄進釜 江戸時代 延享2(1745)年銘 径44.9cm 日本民藝館開館展の展示品
    寄進釜
    江戸時代 延享2(1745)年銘
    径44.9cm
    日本民藝館開館展の展示品
  7. 黒船 江戸時代 19世紀 縦23.8cm
    黒船
    江戸時代 19世紀
    縦23.8cm

  8. ※すべて、日本民藝館蔵

開催概要

展覧会名 創設90年記念 柳宗悦と日本民藝館
会期 2026年6月6日(土)〜8月12日(水)
休館日 月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 日本民藝館
目黒区駒場4-3-33
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 1,500円、高大生 800円、中学生以下無料
公式サイト https://mingeikan.or.jp/
問合せ 03-3467-4527

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