令和8年度夏季展 えいえいやっとな!蔵出し!細川家の狂言面・装束

細川家に伝わる狂言面・装束から、狂言ならではの美意識と魅力に迫る

  • 2026/06/19
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室町時代から続く日本を代表する伝統芸能・狂言。その魅力を伝える展覧会が永青文庫で開催される。本展では、能楽を愛好した細川家に伝来した資料の中から、狂言装束や狂言面を中心に紹介。永青文庫として過去最多となる狂言資料が公開される。

細川家は初代・細川幽斎ゆうさい(1534〜1610年)の頃より能楽を愛好し、歴代当主も能を嗜んできた。近代には「細川家能舞台」が設けられ、永青文庫の設立者である細川護立もりたつ(1883〜1970年)が実際に装束を身に着けた写真も残っており、細川家が長きにわたり能楽の庇護者であり続けたことを物語っている。本展では、その中でも「狂言」に焦点を当て、細川家から伝えられた資料の魅力を紹介する。

狂言は、能と同じ舞台で演じられながらも、庶民的な登場人物たちを通して人間の本質を大らかに、時に鋭く描き出す芸能である。古典的な言葉で物語が進行する一方、「メリメリメリ」「グワラグワラグワラ」といった擬音や、誇張されたしぐさによるユーモラスな表現も特徴的だ。展覧会名にも用いられている「えいえいやっとな!」は、物を飛び越えたり投げたりする際に発せられる掛け声の一つである。

本展の見どころの一つは、デザイン性豊かな狂言装束である。麻地に染で模様を表した狂言装束は、絹織物を用いることの多い能装束とは対照的であり、なかでも肩衣かたぎぬに見られる大胆で意表を突く意匠は、狂言独自の美意識を感じさせる。この肩衣をはじめ、素襖すおう半袴はんばかま熨斗目のしめ、唐人装束など、細川家に伝来した多彩な装束からは、さまざまな演目が演じられてきたことがうかがえる。

また、表情豊かな狂言面にも注目したい。狂言では生きた人間の役はおもてを付けずに演じることが多いため、その種類は能面ほど多くない。しかし、猿や狐などの動物を表したものをはじめ、「賢徳けんとく」「おと」「うそぶき」など、ユーモラスで個性あふれる面が数多く伝えられている。本展では、室町時代の作とみられるものを含む20面あまりの狂言面を紹介する。

さらに「万作の会」の特別協力により、野村万作・萬斎・裕基の三名からの演者の視点によるコメントが展示作品に添えられる。舞台写真とあわせて鑑賞することで、実際の舞台でどのように用いられてきたのか、その魅力への理解を深めることができる。

狂言ならではの装束や面のデザイン、そして人々を魅了してきたユーモアに触れながら、細川家に受け継がれてきた能楽文化の豊かな世界を味わいたい。

  1. 能「加茂」の間狂言「御田」に出演する細川護立(明治40年頃)
    能「加茂」の間狂言「御田」に出演する細川護立(明治40年頃)
  2. 「白麻地源氏車朝顔模様肩衣」江戸時代(18世紀後半〜19世紀前半)
    「白麻地源氏車朝顔模様肩衣」
    江戸時代(18世紀後半〜19世紀前半)
  3. 「染分麻地蒲公英鼓三つ巴模様掛素襖」江戸時代(18世紀後半〜19世紀前半)
    「染分麻地蒲公英鼓三つ巴模様掛素襖」
    江戸時代(18世紀後半〜19世紀前半)
  4. 「福之神」江戸時代(17〜18世紀)
    「福之神」
    江戸時代(17〜18世紀)
  5. 「「武悪」「天下一大和」焼印 江戸時代(17世紀)
    「武悪」「天下一大和」焼印
    江戸時代(17世紀)
  6. 「猿」「出目(花押)」刻銘 江戸時代(17〜18世紀)
    「猿」「出目(花押)」刻銘
    江戸時代(17〜18世紀)
  7. 「狐」江戸時代(18〜19世紀)
    「狐」
    江戸時代(18〜19世紀)

  8. ※すべて永青文庫蔵、面撮影:川瀬由照

開催概要

展覧会名 令和8年度夏季展 えいえいやっとな!蔵出し!細川家の狂言面・装束
会期 2026年7月11日(土)〜9月6日(日)
休館日 月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日(火)
時間 10:00〜16:30
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 永青文庫
文京区目白台 1-1-1
観覧料 一般 1,000円、高大生 500円、70歳以上 800円
※中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその介助者1名は無料
公式サイト https://www.eiseibunko.com/
問合せ 03-3941-0850

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