薬草の博物誌 森野旧薬園と江戸の植物図譜 展

漢方薬に使う薬草から広がった江戸時代の植物研究

  • 2016/02/23
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トロロアオイ(所蔵:高知県立牧野植物園、撮影:佐治康生)
「トロロアオイ」。根が生薬となる。『彩色植物図』(関根雲停画、1841〜1873年)より。
いきいきとした筆致が、関根雲停の真骨頂。
所蔵:高知県立牧野植物園
撮影:佐治康生

奈良県で代々葛粉を製造してきた森野家の10代当主 森野賽郭によって1729(享保14)年に開園した「森野旧薬園」。現存する日本最古の施設薬草園の活動を紹介するとともに、薬草研究から博物学へと発展していく過渡期となった江戸時代の植物図譜を展観する企画展です。

漢方薬の元になった本草学。江戸後期には、幕府により国産化政策がとられるほど重要度を増します。賽郭はその政策にも尽力し、晩年には約1,000種の動植物の姿をまとめた『松山本草』を完成させました。森野旧薬園には、今も約250種の薬草や観賞用植物が栽培されています。

本展では、森野旧薬園の紹介、江戸時代の図譜の変遷、本草学から近代植物学と、3つに分けて展示。Part1では、現代の森野旧薬園の様子を紹介するとともに、森野家に家宝として残されていた『松山本草』のレプリカ、原本の図譜の写真、生薬見本などが並びます。Part2では江戸時代に描かれた11種の和綴じ本から植物図約70点を紹介。Part3では、国内の本草学を植物学へと発展させた牧野富太郎をクローズアップ。その人物像に迫りながら、独自の手法で描いた植物図の原図などを展示します。江戸時代の薬草から始まる植物研究の流れを学びながら、細密な植物の絵画としても楽しめる内容です。

  1. カラスウリ(所蔵:高知県立牧野植物園、撮影:佐治康生)
    カラスウリ
    ウリ科。根は「王瓜根(オウガコン)」または「土瓜根(ドカコン)」と称し、中国では利尿・瀉血薬として黄疸や下血の治療に用いる。 『本草図譜』(岩崎灌園著、1830〜44年の刊に彩色を加えて発刊した大正版)より。
    所蔵:高知県立牧野植物園
    撮影:佐治康生
  2. ネムノキ(所蔵:高知県立牧野植物園、撮影:佐治康生)
    「ネムノキ」。マメ科。樹皮は「合歓皮(ゴウカンヒ)」という生薬。『草木花実写真図譜』(川原慶賀著、明治初期刊)より。1836年に刊行された『慶賀写真草本』の改題再刊本。和名と洋名を両方記し、その特徴や効能を書き込んでいる。
    所蔵:高知県立牧野植物園
    撮影:佐治康生

開催概要

展覧会名 薬草の博物誌 森野旧薬園と江戸の植物図譜 展
会期 2016年3月3日(木) 〜 5月21日(土)
休館日 水曜日
時間 10:00〜18:00
会場 LIXILギャラリー東京
中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA 2F 
入場料 無料
公式サイト https://livingculture.lixil.com/gallery/
問合せ 03-5250-6530

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