多様な作品のある陶芸の世界。見る人の心身に大きく作用する“色”に注目し、技法や釉薬などの素材に焦点を当てて展観する企画展です。

器本体を1200℃以上で高温焼成した後、専用の絵の具で絵を描き、800℃前後の低温で再度焼いて定着させる上絵付の技法は、鮮やかな色を表現できます。また、土を直接炎と熱にさらすことで、土に含まれる鉄分が反応して茶褐色や赤色に発色する信楽焼、灰釉や銅の釉薬などを用いて発色させる緑の器、窯内に酸素を送らずに焼成する“還元焼成”という焼き方で釉薬に含まれる微量の鉄分が青みを帯びる青磁と青白磁など、陶磁器の色合いは、作家の技量や素材、焼成温度などによって幅広く表現されてきました。

本展では、石黒宗麿、河井寛次郎、川瀬忍、小池頌子、酒井田柿右衛門、富本憲吉、深見陶治、藤本能道、藤平伸、八木一夫など、近現代の陶芸家の作品約60点を展示します。特に、重要無形文化財保持者である三代徳田八十吉の作品は、晩年の未発表のものも含まれ必見です。九谷焼の色絵技法を独自の表現「彩釉磁器」まで高めた技法は、色彩の持つ魅力が存分に引き出されています。
　色合い鮮やかな陶磁器とともに、写真家 六田知弘の写真も展示。鋭いまなざしで切り取られた自然の形象が楽しめます。

※会期終了に伴い画像を削除いたしました