パリ❤グラフィック ―ロートレックとアートになった版画・ポスター展

"複製のための版画からグラフィック・アートへ!その広がりを追う

  • 2017/10/19
  • イベント
  • アート

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》1893年 多色刷りリトグラフ 三菱一号館美術館
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
《ディヴァン・ジャポネ》1893年
多色刷りリトグラフ
三菱一号館美術館

19世紀末のパリで花開いた大衆文化。18世紀末に発明されたリトグラフ(石版画)が、19世紀に最先端の表現メディアとして多くの芸術家たちに受け入れられ、版画がグラフィック・アートという芸術に高められたことで、アートも日常に溶け込んでいった流れを検証する企画展です。

近代産業の発達によって膨らんだパリの人口増加による弊害を解消するために、19世紀半ばにパリ大改造を実施。労働者層は近郊へ移住を余儀なくされました。モンマルトルもその一つとなり、ムーラン・ルージュなどの名物キャバレーやダンスホールなどが生まれます。南仏アルビの名門貴族出身のトゥールーズ=ロートレックは、モンマルトルの歓楽街や娼館の人々をポスターや版画などでも描き、デッサンや色彩などの技巧を凝らし、版画を絵画と同じ芸術の域に高めました。リトグラフ(石版画)による表現の多様化は、ロートレックだけでなく、ボナールやヴュイヤールといった前衛芸術家たちを刺激し、版や刷りの実験的な取り組みも盛んに行われます。版画の価値が上がると同時に、コレクターや版画専門の画商も登場。一点ものや豪華版も生まれるなど、コレクション熱が過熱していきます。一方で、技術革新した版画はポスターなどとなって複製され、急速に人々に浸透。日常生活の中に広がっていくようになります。

本展では、複製や情報伝達の手段だった版画やポスターが、リトグラフなど技術の進歩と、芸術家たちが生み出した多彩な色を用いた美しい作品などによって、アートの一分野にまで高められた流れを追います。ロートレックの親友だった、ゴッホの弟テオの画廊を後継したモーリス・ジョワイヤンの250点余りのグラフィック・コレクションを持つ同館の作品に、世界有数の19世紀末版画コレクションを有するファン・ゴッホ美術館からリトグラフ、ポスター、油彩、挿絵本などが加わり、総計約140点が展観できます。世紀末のコレクターのニーズに応えた高品質な作品と、パリの街角や劇場、キャバレーなどで展開したポスターやパンフレットなどの大衆作品の二方向から楽しめる点が特徴です。

  1. エドゥアール・ヴュイヤール《街路(風景と室内)》1899年 多色刷りリトグラフ  アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館
  2. ピエール・ボナール《「フランス=シャンパン」のためのポスター》1891年 多色刷りリトグラフ  アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館
  3. フェリックス・ヴァロットン《お金(アンティミテⅤ)》1898年 木版 三菱一号館美術館
  1. エドゥアール・ヴュイヤール《街路(風景と室内)》1899年 多色刷りリトグラフ アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館
  2. ピエール・ボナール《「フランス=シャンパン」のためのポスター》1891年 多色刷りリトグラフ アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館
  3. フェリックス・ヴァロットン《お金(アンティミテⅤ)》1898年 木版 三菱一号館美術館

開催概要

展覧会名 パリ❤グラフィック ―ロートレックとアートになった版画・ポスター展
会期 2017年10月18日(水) 〜 2018年1月8日(月・祝)
休館日 月曜日(ただし10月30日、11月27日、12月25日、1月8日は開館)、
12月29日(金)〜1月1日(月・祝)
時間 10:00〜18:00
※祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、1月4日、1月5日は21:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 三菱一号館美術館
千代田区丸の内2-6-2  
>> 会場の紹介記事はこちら
入場料 一般 1,700円、高大生 1,000円、小中学生 500円
公式サイト https://mimt.jp/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

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