郷愁を誘う日本の原風景を描いた近代画家の芸術世界を覗く
伝統的な山水画から近代的な風景画へと導いた近代の日本画家、川合玉堂。日本の山河を実際に訪ねて描いた穏やかな景色を楽しみつつ、画業の初期から晩年までその足跡を辿る回顧展です。没後60年を記念して開催されます。
愛知県に生まれた川合玉堂は、子どもの頃から絵に親しみ、京都で円山応挙を祖とする円山派、江戸時代中期に興った日本画派閥の四条派を学び日本画の基礎を身に付けます。豊かな自然とそこに暮らす人々の姿を狩野派の様式を取り入れ、山水画を踏襲しつつも近代的な風景画として色鮮やかに描き、新たな境地を開拓しました。
また、岡倉天心や横山大観らが創立した日本美術院に発足当初から参加し、官展では審査員、後の東京藝術大学である東京美術学校の教授、帝室技芸員に任ぜられるなど、画壇の中心的な存在として活躍。1940(昭和15)年には文化勲章を受章しました。第二次世界大戦の戦火が激しい1944(昭和19)年、現在の青梅市に疎開し、戦後も同地で定住。穏やかで温かみのある作品を創作しました。1957(昭和32)年に亡くなった際、その訃報に接した日本画家・鏑木清方は、「日本の自然が、日本の山河が無くなってしまったように思う」と嘆いたと言われています。
本展では、初期から晩年までの代表作を一堂に集め、その画業を辿ります。初期の注目は《鵜飼》(1895年、山種美術館)、金地に梅が華やかな大正期の名作《紅白梅》(1919年頃、玉堂美術館)、円熟期ならではの技巧で秋の情感を描いた《彩雨》(1940年、東京国立近代美術館)、晩年の牧歌的な作風で描かれた《早乙女》(1945年、山種美術館)など、約80点を展示。70年にわたる画業の変遷を眺めるほか、他の画家との合作、玉堂の詠んだ詩歌が書かれた作品を通して、家族への想い、親しい画家や歌人との交流なども、エピソードを交えて紹介します。
展覧会名 | 【特別展】 没後60年記念 川合玉堂 ―四季・人々・自然― |
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会期 | 2017年10月28日(土) 〜 12月24日(日) ※会期中、一部展示替えあり 前期:10月28日(土) 〜 11月26日(日) 後期:11月28日(火) 〜 12月24日(日) |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 山種美術館 渋谷区広尾3-12-36 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,200円、大高生 900円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://www.yamatane-museum.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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