コケや菌類などを収集し、民俗の研究に打ち込んだ150年前のナチュラリスト
明治から昭和時代にかけて活躍した、南方熊楠。語学に優れ、アメリカやイギリスにわたって学び、菌類やコケ、昆虫、小動物などの収集・研究を行った熊楠の生涯を振り返り、その業績を紐解きます。生誕150周年を記念する企画展です。
和歌山県に生まれの熊楠は、幼少のころから天才的な記憶力を発揮し、英語やフランス語など語学に精通、博物学を学んでいきます。1886年にアメリカへ、1892年にはイギリスに渡って研究を行い、1900年に帰国。和歌山県の那智や田辺で、コケ、シダ、菌類などの花の咲かない植物を中心に収集し、多くの標本を作製しました。新種の粘菌も発見しています。また、民俗の研究にも力を注ぎます。孫文や柳田國男など、幅広い人々と交流したほか、自然保護運動にも参画しました。生態学、宗教、民俗と多岐にわたる分野でさまざまな業績を残しています。
近年の研究で、森羅万象を探求した研究者としてではなく、広く情報を収集して蓄積した情報提供者として生物学などを取り扱っている色彩が強いことが明らかになり、その生涯や活動が改めて注目されています。
本展では、6つの章に分けて展示を構成。「1章 熊楠の智の生涯」で幼少から晩年に至るまでの生涯を辿り、「2章 一切智を求めて」で和歌山県でのコケ、シダ、菌類などの収集や民俗研究を紐解き、フィールドワークの道具や活動内容を紹介します。「3章 智の広がり」では、熊楠が収集した植物にフォーカス。今でも研究している菌類、地衣類、大型藻類、微細藻類を、熊楠の標本と現在の標本で対比させながら紹介します。「4章 智の集積−菌類図譜−」では、菌類を描写・記載した「菌類図譜」を紹介。最近新たに発見された「菌類図譜・第二集」を初公開するとともに、従来知られていた図譜(第一集)もバーチャルで展示。「5章 智の展開−神社合祀と南方二書−」では、神社合祀反対運動から発展した自然保護運動を訴える南方二書に登場する植物の標本を展示します。「6章 智の構造を探る」では、代表的な著書『十二支考・虎』を展示。中に熊楠が腹稿と呼んだメモ書きがあり、思考の過程に迫れます。
展覧会名 | 南方熊楠生誕150周年記念企画展 南方熊楠−100年早かった智の人− |
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会期 | 2017年12月19日(火) 〜 2018年3月4日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし1月8日、2月12日は開館)、 12月28日(木)〜1月1日(月・祝)、1月9日(火) |
時間 | 9:00〜17:00(金・土曜日は20:00まで) ※入館は各閉館時刻の30分前まで |
会場 | 国立科学博物館 台東区上野公園7-20 |
入館料 | 一般・大学生 620円 |
公式サイト | https://www.kahaku.go.jp/event/2017/12kumagusu/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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