意匠作家と陶芸家の兄弟。それぞれの業と交流を探る
装飾の伝統をデザインに高めた画家であり意匠作家、尾形光琳。その弟で、やきものの世界に新風を起こした陶芸家、尾形乾山。芸術家兄弟のそれぞれの魅力に迫り、2人の間にあった美意識の交流を探る企画展です。
光琳は、俵屋宗達らの造形をベースに装飾性の高い彩色画を生み出しました。狩野派、雪舟などからも大きな影響を受け、水墨でも優れた作品を残しています。錆絵による乾山焼への絵付けは、文人趣味やユーモアのある表現を作風に加え、色彩と水墨、デザインと画などへの対比や調和も生み出しました。
一方の乾山は文人的な生活を送る傍ら、さまざまな焼き物の作風にチャレンジしていきます。角皿に絵を描き、モチーフの輪郭に沿って成形した食器を作るなど、「絵」を意識した作品も多く作陶しました。
本展では、3章にわたって、芸術家兄弟の作風や交流を見ていきます。「第1章 光琳の絵画−色彩と水墨の相克と調和」では、光琳が40代半ばに到達した最初の芸術的頂点を成す国宝「燕子花図屏風」、同時期に制作された重要美術品「鵜舟図」、粗放な筆致であえて稚拙な味わいを狙った重要文化財「錆絵寒山拾得図角皿」などが展示されます。「第2章 乾山のやきもの−絵のあるうつわ−」では、色紙のような四角い平面が鑑賞本位な「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図各皿のうち1月」、流水に紅葉が流れる情景をかたどる「色絵竜田川文向付」、手で成形した素朴な皿に凝ったデザインが施された重要文化財「錆絵染付金彩絵替土器皿」などが並び、華やかな雰囲気。「3章 乾山の書画−文人として、光琳風の継承者として−」では、1731(享保16)年頃、江戸に滞在していた乾山が取り組んだ絵画に注目し、素人風に描いた画と自賛の書が並ぶ「兼好法師図」や「定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 九月」などを展観します。光琳の弟子と伝えられている渡辺始興が書いた「錆絵蘭図各皿」も必見です。多彩な造形や、兄弟の合作によって響き合う美の世界をじっくり展観できます。
展覧会名 | 特別展 「光琳と乾山−芸術家兄弟・響き合う美意識−」 |
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会期 | 2018年4月14日(土) 〜 5月13日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし4月30日は開館) |
時間 | 10:00〜17:00 ※5月8日(火)〜13日(日)は19:00まで ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 根津美術館 港区南青山6-5-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,300円、高大生 1,000円 |
公式サイト | https://www.nezu-muse.or.jp/ |
問合せ | 03-3400-2536 |
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