特別展 「光琳と乾山−芸術家兄弟・響き合う美意識−」

意匠作家と陶芸家の兄弟。それぞれの業と交流を探る

  • 2018/03/30
  • イベント
  • アート

装飾の伝統をデザインに高めた画家であり意匠作家、尾形光琳。その弟で、やきものの世界に新風を起こした陶芸家、尾形乾山。芸術家兄弟のそれぞれの魅力に迫り、2人の間にあった美意識の交流を探る企画展です。

光琳は、俵屋宗達らの造形をベースに装飾性の高い彩色画を生み出しました。狩野派、雪舟などからも大きな影響を受け、水墨でも優れた作品を残しています。錆絵による乾山焼への絵付けは、文人趣味やユーモアのある表現を作風に加え、色彩と水墨、デザインと画などへの対比や調和も生み出しました。
 一方の乾山は文人的な生活を送る傍ら、さまざまな焼き物の作風にチャレンジしていきます。角皿に絵を描き、モチーフの輪郭に沿って成形した食器を作るなど、「絵」を意識した作品も多く作陶しました。

本展では、3章にわたって、芸術家兄弟の作風や交流を見ていきます。「第1章 光琳の絵画−色彩と水墨の相克と調和」では、光琳が40代半ばに到達した最初の芸術的頂点を成す国宝「燕子花図屏風」、同時期に制作された重要美術品「鵜舟図」、粗放な筆致であえて稚拙な味わいを狙った重要文化財「錆絵寒山拾得図角皿」などが展示されます。「第2章 乾山のやきもの−絵のあるうつわ−」では、色紙のような四角い平面が鑑賞本位な「色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図各皿のうち1月」、流水に紅葉が流れる情景をかたどる「色絵竜田川文向付」、手で成形した素朴な皿に凝ったデザインが施された重要文化財「錆絵染付金彩絵替土器皿」などが並び、華やかな雰囲気。「3章 乾山の書画−文人として、光琳風の継承者として−」では、1731(享保16)年頃、江戸に滞在していた乾山が取り組んだ絵画に注目し、素人風に描いた画と自賛の書が並ぶ「兼好法師図」や「定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 九月」などを展観します。光琳の弟子と伝えられている渡辺始興が書いた「錆絵蘭図各皿」も必見です。多彩な造形や、兄弟の合作によって響き合う美の世界をじっくり展観できます。

  1. 国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
    国宝 燕子花図屏風
    尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色
    日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
  2. 重要文化財 銹絵寒山拾得図角皿 尾形乾山作・尾形光琳画 2枚 施釉陶器 日本・江戸時代 18世紀 京都国立博物館蔵
    重要文化財 銹絵寒山拾得図角皿
    尾形乾山作・尾形光琳画 2枚 施釉陶器
    日本・江戸時代 18世紀 京都国立博物館蔵
  3. 重要文化財 銹絵染付金彩絵替土器皿 尾形乾山作 5枚 施釉陶器 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
    重要文化財 銹絵染付金彩絵替土器皿
    尾形乾山作 5枚 施釉陶器
    日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

開催概要

展覧会名 特別展 「光琳と乾山−芸術家兄弟・響き合う美意識−」
会期 2018年4月14日(土) 〜 5月13日(日)
休館日 月曜日(ただし4月30日は開館)
時間 10:00〜17:00
※5月8日(火)〜13日(日)は19:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 根津美術館
港区南青山6-5-1 
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 1,300円、高大生 1,000円
公式サイト https://www.nezu-muse.or.jp/
問合せ 03-3400-2536

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