企画展 「はじめての古美術鑑賞−漆の装飾と技法−」

伝統が息づく漆器の歴史、装飾、技法を分かりやすく解説

重要文化財 春日山蒔絵硯箱 1合 木胎漆塗 日本・室町時代 15世紀 根津美術館蔵

金粉を施した日本を代表する工芸品である蒔絵、中国や朝鮮半島で螺鈿、彫漆、存星などの技法で作られた唐物漆器など、「漆器」に注目し、その歴史や装飾、技法について作品を展観しながら解説する企画展です。2016年の「はじめての古美術鑑賞」、2017年の「はじめての古美術観賞―紙の装飾」に続く、3回目となります。

縄文時代から土器に朱色の漆を塗るなど、人々の生活の道具の塗料として根付いてきた漆。奈良時代には中国から装飾を施した漆器が伝わり、その影響を受けて日本独自の蒔絵といわれる装飾漆器が生まれました。室町時代になると、中国や朝鮮半島から螺鈿、彫漆、存星など、多様な技法で作られた唐物漆器が入ってきて珍重されます。高度な技術と工数が多い漆器ですが、陶磁器よりも割れにくく、広く日常に使われていました。

本展では、日本と東アジアの漆器作品を技法ごとにまとめて展観。重要文化財《春日山蒔絵硯箱》は、足利義政の愛蔵品。蓋の表に満月に照らされた秋野の風景を、空は金粉をまばらに撒いた梨子地なしじで、鹿は立体的に見せる高蒔絵たかまきえで表現しています。《螺鈿楼閣人物文箱》では、全体が螺鈿で花唐草文、楼閣人物文が施されており、その細かなデザインに注目です。色漆を塗り重ねて文様を彫り、そこに別の色の漆を埋める存星ぞんせいは、輪郭線に金が施される豪華な技法。《存星果実八宝文長方合子》の蓋の表には、4本の霊芝を結んだ紋様が描かれています。《堆朱楼閣人物文大香合》は、陶磁器や金属、木などに漆を厚く塗って彫刻を施す、彫漆ちょうしつ技法で作られた作品。二人の人物や周囲の情景が事細かに表現されています。日本と東アジアの漆器の歴史、装飾の種類などを踏まえながら技法を掘り下げて見られる、日本美術の初心者にも入りやすい内容となっています。

堆朱楼閣人物文大香合(写真右:拡大図) 1枚 木胎漆塗 中国・明時代 15-16世紀 根津美術館蔵
存星果実八宝文長方合子(写真右:蓋拡大図) 1合 木胎漆塗 中国・清時代 18世紀 根津美術館蔵
開催概要
展覧会名 企画展 「はじめての古美術鑑賞−漆の装飾と技法−」
会期 2018年5月24日(木) 〜 7月8日(日)
休館日 月曜日
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 根津美術館
港区南青山6-5-1 
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入館料 一般 1,100円、高大生 800円
公式サイト http://www.nezu-muse.or.jp/
問合せ 03-3400-2536
2018年5月更新