一見絵画のように見える写真作品で時間や空間を超える視覚表現を追求
絵画の構図を利用した映像や写真作品を発表し、国内外で注目を集めている小瀬村真美。アニメーション作品、ゴミなどを用いて静物画のように仕上げた写真作品など、初期から新作までを一堂に集めて、気鋭のアーティストの実力と魅力に迫ります。2015年度に五島記念文化賞美術部門新人賞を受賞して赴いた海外研修後の成果発表となる企画展です。
2004年、東京藝術大学大学院美術研究科で学びながら、東京都現代美術館やワシントンのギャラリーなどでのグループ展に参加。同年、野村国際文化財団賞野村賞を受賞し、東京都現代美術館、東京藝術大学大学美術館、群馬県立館林美術館、Asia Society and Museum(アメリカ)、Kuandu Museum of Fine Arts(台湾)に作品が収蔵されています。
西洋静物画のように組んだセットをデジタルカメラで一定の間隔で連続撮影し、数千の写真をつなげてアニメーション化し、三次元の現実を構図や描写の工夫で二次元の絵画的な写実に近づけています。その過程で絵画の中の虚構性が明らかになり、アニメーションとして動くことで再び現実らしさを獲得していくのです。
絵画と写真と映像を組み合わせることで、異なるメディアの時間的・空間的な構造を掘り下げ、触りたくなるようなリアリティのある映像へ挑戦する美術的な探求が展開されてきました。近年は自身のコンセプトに縛られず、偶然を受け入れて観る人の視線や経験に解釈を委ねる作品も登場。作品を観る人それぞれが、それまで見えていなかった現実を見い出す場や予想外の現実が現れる場を提供しています。
本展では、デジタル作品でありながら独特な生々しさ、匂いなどを表し、イメージを巡る虚構と現実を連想させる新作の組写真やインスタレーション、約30点を紹介します。各部屋に、「はじまりとおわりの部屋〜ドローイングワークと各作品のはじまり、または終わり(きっかけ、または残骸)」、「西洋絵画の部屋」、「人物の部屋〜episodeⅢ 呼吸の音」、「ニューヨークの部屋〜絵画からの拡張とラフな実験」、「黒い静物画の部屋〜おわりに向かって、動く映像から静止画へ」とテーマを設け、5章立てで展開します。観る人が作品を通して時間や空間を超える視覚表現が体感できる内容となっています。
展覧会名 | 小瀬村真美:幻画〜像(イメージ)の表皮 |
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会期 | 2018年6月16日(土) 〜 9月2日(日) |
休館日 | 月曜(ただし7月16日は開館)、7月17日(火) |
時間 | 11:00〜17:00(祝日を除く水曜は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 原美術館 品川区北品川4-7-25 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,100円、高大生 700円、小中生 500円 ※原美術館メンバーは無料 ※学期中の土曜日は小中高生の入館無料 |
公式サイト | http://www.haramuseum.or.jp |
問合せ | 03-3445-0651 |
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