館蔵 秋の優品展 禅宗の美術と学芸

日本人の美意識を深めた禅宗寺院の書画や墨跡、漢詩文

平安末期に興った禅宗は鎌倉時代に急速に広まり、禅宗寺院を中心に独自の美術や学芸が花開きました。当時の日本人の文化に大きく影響を与え、美意識を深めるきっかけとなった禅宗美術に着目し、所蔵品からその魅力を掘り下げる企画展です。

本展では、鎌倉・室町時代を中心に館蔵の禅宗美術作品約40点と、日本陶磁約15点を展観します。
 南宋時代からは、「叭々鳥図 伝 牧谿筆」などが、鎌倉時代からは、重要文化財「無学祖元墨跡 偈頌」や重要美術品「夢窓疎石墨跡 古徳偈」などが並びます。室町時代の作品では「一休宗純墨跡 偈頌」や、「布袋図 愚中周及筆 見心来復賛」「花伝書ぬきがき條々」などを紹介。桃山時代の陶磁器である重要文化財「古伊賀水指 銘 破袋」も展示されます。
 特に注目なのは、次の3点の作品です。1つ目は、鎌倉にある建長寺を開いた蘭溪道隆らんけいどうりゅう(1213〜78)の書、蘭溪道隆墨跡「風蘭」偈。後半の漢詩の内容は、岩山の影にひっそりと咲くランも、その香りは春風とともに広がると書かれ、禅の徳風の在り方を詩に託したと考えられています。
 2つ目は、重要美術品「雪嶺斎図 僊可筆 麟仲祖祥他賛」。上部は、足利晴氏あしかがはるうじ(?〜1560)が書斎名の「雪嶺斎」の題字と花押を書したもので、下部は建長寺の3人の僧による詩賛です。書斎を中心に描く詩画軸の一種である書斎図は、禅僧が憧れた理想郷を絵画化したもので、室町時代に好んで描かれました。
 3つ目は、唐の文学者、柳宗元りゅうそうげん(773〜819)の作品に注釈をつけて出版した「新刊五百家註音辯唐柳先生文集(五山版)」。禅宗寺院周辺で刊行されたため、五山版と呼ばれています。五山の禅僧たちが詩作の手本として利用しました。中国の高僧とともに来日した渡来人の工人が出版に携わっています。
 会期中、紫式部が書いた日記を約250年後に絵巻にした国宝「紫式部日記絵巻 五島本」も期間限定で特別展示され、要注目です。
 絵画や墨跡、出版物などさまざまな作品から、中世の文化の一端を深く展観できます。

布袋図 愚中周及筆 見心来復賛 室町時代・14世紀 五島美術館蔵
蘭竹図 伝 鉄舟徳済筆 室町時代・15世紀 五島美術館蔵
重要文化財 古伊賀水指 銘 破袋 桃山時代・17世紀 五島美術館蔵

一休宗純墨跡 偈頌 室町時代・15世紀 五島美術館蔵
重要文化財 無学祖元墨跡 偈頌 鎌倉時代・弘安9年(1286) 五島美術館蔵
開催概要
展覧会名 館蔵 秋の優品展 禅宗の美術と学芸
会期 2018年8月25日(土) 〜 10月14日(日)
休館日 月曜日(ただし、9月17日・9月24日・10月8日は開館)、
9月18日(火)、9月25日(火)、10月9日(火)
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 五島美術館
世田谷区上野毛3-9-25
入館料 一般 1,000円、高大生 700円
公式サイト https://www.gotoh-museum.or.jp/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
2018年8月更新