企画展 「禅僧の交流−墨蹟と水墨画を楽しむ−」

独特な書風の墨蹟と、画僧による水墨画から禅僧の日中交流を眺める

  • 2018/08/09
  • イベント
  • アート

中世に、中国へと渡った日本人留学僧や、日本に招かれた中国僧達はそれぞれに現地の禅僧と交流を深めます。その様子は独特な書風で書かれた墨蹟や、水墨画などに描かれました。高僧の遺徳がしのばれる品として大切に伝えられてきた作品から、当時の交流の様子を眺める企画展です。

臨済宗の開祖である栄西ようさいや、京都・東福寺を開山した円爾えんになどの著名な禅僧を含め、200人以上の禅僧が中国へと留学します。博多と中国の明州(今の寧波)の行き来が一般的でした。円爾の場合は、往路は10日、復路は悪天候で約2カ月かかったと言われています。墨蹟の一つで、漢文体で書かれた手紙「尺牘せきとく」には、留学中に知り合った禅僧同士の友情や、師弟間の絆の強さなどが記されました。また、文化サークルを作って集い、グループ内で詩を読み、水墨画に賛を付けて、詩と絵による作品を誕生させています。中には雪舟のような絵画を専門とする画僧もあらわれ、中には足利将軍家御用の同朋衆のもとで修業した者もいたようです。

本展では、賛が付された水墨画や、尺牘、墨蹟など、約50件を展示。蒋摩訶しょうまかが、布袋和尚は弥勒菩薩の化身だと確信を得た際の情景を絵画化した、国宝「布袋蒋摩訶問答図」は、因陀羅いんだらが墨の濃淡を活かして描き、当時の中国国内外から絶大な支持を得ていた楚石梵琦そせきぼんきが賛を付しています。鎌倉幕府執権・北条時宗の招きで来日した中国の禅僧、無学祖元むがくそげんによる重要文化財「無学祖元墨蹟 附衣偈断簡」、中国の僧、剣門妙深けんもんみょうしんが同門で京都・東福寺開山の円爾に書いた手紙である重要文化財「剣門妙深墨蹟 尺牘」などの貴重な作品が並びます。重要文化財「江天遠意図 伝 周文筆 大岳周崇ほか賛」は、12人もの禅僧がこの絵を鑑賞して詩を寄せ、当時の文化サークルの様子が感じられる作品です。そのほか、若き日の雪舟の水墨画や雪舟に私淑した雪村の水墨画、青磁のやきものなども紹介され、多様な観点から当時の禅僧の交流が見られる内容となっています。

※会期終了に伴い画像を削除いたしました

開催概要

展覧会名 企画展 「禅僧の交流−墨蹟と水墨画を楽しむ−」
会期 2018年9月1日(土) 〜 10月8日(月・祝)
休館日 月曜日(ただし9月17日、9月24日は開館)、9月18日(火)、9月25日(火)
時間 10:00〜17:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 根津美術館
港区南青山6-5-1
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 1,100円、高大生 800円
公式サイト http://www.nezu-muse.or.jp/
問合せ 03-3400-2536

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