明治時代に作られた輸出用の家具の技巧を凝らしたデザインに注目
19世紀末からヨーロッパで流行したジャポニスム。開国して間もない日本では、その流れを受けて輸出振興や殖産興業に力を入れました。室内装飾として作られた輸出家具に注目し、西洋の生活スタイルに合わせたデザイン、伝統意匠、細かな手業などを展観する企画展です。
1873年のウィーン万博をきっかけに日本の工芸品は人気となり、外貨獲得のために陶磁器、七宝、金工品などを中心に、細密な装飾を施して輸出されるようになります。美術工芸品と同じように贅を尽くして作られた輸出家具も、海外で高い人気を誇りました。しかし、これらの輸出家具は経年劣化と共に処分されるなどして、日本にはほとんど現存せず、今日まで美術工芸品ほどその存在を知られてきませんでした。
本展では、職人たちの豊かな表現や精巧な技術が光る輸出家具のうち、寄木細工、芝山細工、青貝細工、仙台簞笥、横浜彫刻家具(写真のみ)の5種類10点を紹介します。
展示される寄木細工の簞笥は、欧米人のイスを用いる生活に合わせて4脚台の上に載せられており、全体がユニークな形。幾何学模様の中に、木象嵌や小寄木を散らした技とセンスが光ります。
芝山細工は、貝、象牙、鼈甲(べっこう)、珊瑚、瑪瑙(めのう)などをレリーフ上にはめ込んだもので、江戸時代に考案されました。立体的な装飾は、漆や蒔絵、螺鈿、彫刻などと組み合わされており華やかです。衝立「豊年満作図」では、象牙で細工された人物、衣装は蒔絵、細部に翡翠や珊瑚などが使われ、のどかな里山で収穫を行う人々を描いています。
螺鈿技法のひとつである青貝細工は、貝片の下に色を伏せて作られます。展示されるライティングビューローは、引き出し部分の桜が淡いピンクとブルーの花弁、紅色の葉などグラデーションで作られており、要注目です。
かつての仙台藩の領内であった宮城県や岩手県南部で使われていた仙台簞笥。木工、漆工、金工の技が三位一体となって作られており、堅牢で美しいのが特徴。本展では、失敗が見つかり輸出されなかった鏡付き仙台簞笥と、錺金具(かざりかなぐ)の図案「虎図」が紹介されます。
超絶技巧を駆使した手業はもちろん、機能主義の近代デザインに傾倒する前の人間味あふれる表現に触れ、明治の輸出家具の魅力を捉え直す機会となります。
展覧会名 | 海を渡ったニッポンの家具 −豪華絢爛仰天手仕事− |
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会期 | 2018年9月6日(木) 〜 11月24日(土) |
休館日 | 水曜日 |
時間 | 10:00〜18:00 |
会場 | LIXILギャラリー 中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA 2F |
入場料 | 無料 |
問合せ | 03-5250-6530 |
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