会場全体が一つの大きなインスタレーションのよう!
作品世界に没入しながら50年の軌跡をたどる
歴史や記憶、人間の存在の痕跡などをテーマに世界中で作品を発表する、現代のフランスを代表する作家、クリスチャン・ボルタンスキー(1944〜)。その活動の全貌を紹介する、日本では過去最大規模の回顧展が、国立国際美術館(大阪)に続き国立新美術館にて開催。
1944年にパリで生まれたボルタンスキー。1968年に短編映画を発表し、1972年にはドイツのカッセルで開かれた国際現代美術展のドクメンタに参加して以降、世界各地で作品を発表してきた。1980年代後半には、ナチス・ドイツの犠牲になったユダヤ人を暗示するかのような写真を制作し、1990年代以降は大規模なインスタレーションを数多く手がけるようになる。日本とも密接な関係を築いており、これまで個展や芸術祭を通して作品を発表してきた。
本展は、作家の50年間の活動をたどる、日本において過去最大規模の回顧展で、最新作を含む46点(予定)が出品。集団や個人の記憶、そして宗教や死を主題に、映像、写真、書籍、日用品といった多様なメディアを用いた作品や、近年では、人々が語り継ぐことをテーマとし、形として残らない作品にも取り組むなど、その表現手法は多岐にわたる。
そして、「空間のアーティスト」と自らを形容するボルタンスキーが、「展覧会をひとつの作品のように見せる」と語るように、本展は、初期作品から最新作までを時代順に紹介するのではなく、個々の作品を組み合わせ、一つの大きなインスタレーションとして展示が構成される。例えば、電球が毎日3つずつ消え、会期最終日にはすべての電球が消える光のインスタレーション《黄昏》、3つの巨大スクリーンに映し出される映像で構成される《ミステリオス》、壁を埋め尽くす大量の古着が、おびただしい数の個人の存在を浮かび上がらせる《保存室(カナダ)》など、それぞれのちょっとした気づきが、最終的に一つの大きなうねりになるような、没入感と連続性のある演出が楽しめる。
一見重いテーマで難しい展示のように感じるが、会場の音や光、空間が醸し出す雰囲気から、アート初心者でもきっと何かを感じ取れるはずだ。配布されるマップを片手に、壮大なボルタンスキーの作品世界に飛び込んでみよう。
展覧会名 | クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime |
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会期 | 2019年6月12日(水) 〜 9月2日(月) |
休館日 | 毎週火曜日 |
時間 | 10:00〜18:00 ※金・土曜日は、6月は20:00まで、7・8月は21:00まで ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室2E 港区六本木7-22-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 1,600円、大学生 1,200円、高校生 800円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://www.nact.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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