もうひとつの江戸絵画 大津絵

手軽な旅土産として愛された、味のある江戸絵画「大津絵」を
文化人たちの旧蔵歴から美術としてとらえ直す

東京ステーションギャラリーにて、東海道を旅する旅人たちの手軽な土産物として愛された江戸絵画「大津絵」の展覧会が開催。

これまで大津絵の展覧会は、博物館や資料館で開催されることが多く、美術館で開かれたことはほとんどなかった。それは大津絵が、主として歴史資料、民俗資料として扱われてきたからだが、本展では、大津絵を美術としてとらえ直し、狩野派でも琳派でもなく、若冲など奇想の系譜や浮世絵でもない、もうひとつの江戸絵画としての大津絵の魅力に迫る。

大津絵は江戸時代初期より、東海道の宿場大津周辺で量産された手軽な土産物だ。分かりやすく面白みのある絵柄が特徴で、全国に広まったが、安価な実用品として扱われたためか、現在残されている数は多くない。
 しかし近代になり、街道の名物土産としての使命を終えた大津絵は、多くの文化人たちを惹きつけるように。文人画家の富岡鉄斎、洋画家の浅井忠、民藝運動の創始者である柳宗悦など、当代きっての審美眼の持主たちが、おもに古い大津絵の価値を認め所蔵したのだ。こうした傾向は太平洋戦争後も続き、洋画家の小絲源太郎や染色家の芹沢_介らが多くの大津絵を収集した。

見どころは、文化勲章を受章した洋画家・小絲源太郎が秘蔵した大津絵を、まとめて収蔵する笠間日動美術館からの初公開作品35点と、民藝運動の父・柳宗悦が創設した日本民藝館が所蔵する、大津絵の名品52点の一挙公開。本展は、丹念な調査と所蔵先などの協力により、確かな目を持つ近代日本の文化人が旧蔵したことが明らかな大津絵のみが揃うという、いわば名品揃いの展示と言える。
 また、大津絵の名品を入手した所蔵家たちは、表装にも贅を凝らしており、そのこだわりを示す掛軸の表装も見どころのひとつとなっている。

これまでの民俗・歴史資料としての位置づけに、美術の視点をくわえることで、大津絵の新たな魅力を発見できるはずだ。

《瓢箪鯰》日本民藝館蔵
《猫と鼠》『古筆大津絵』より 笠間日動美術館蔵
《鬼の行水》日本民藝館蔵
《提灯釣鐘》日本民藝館蔵

《鬼の念仏》笠間日動美術館蔵
「藤娘」《大津絵図巻》より 福岡市博物館蔵
《頼光》滴翠美術館寄託
《槍持鬼奴》個人蔵
開催概要
展覧会名 もうひとつの江戸絵画 大津絵
会期 2020年9月19日(土)〜11月8日(日)
休館日 月曜日(9月21日、11月2日は開館)
時間 10:00〜18:00
※金曜日は20:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 東京ステーションギャラリー
千代田区丸の内1-9-1
入館料 一般 1,200円、高大生 1,000円、中学生以下無料
※日時指定予約制
※詳細はこちらをご確認ください
公式サイト http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
問合せ 03-3212-2485
2020年9月8日更新