トランスレーションズ展 - 『わかりあえなさ』をわかりあおう

この世界に存在するありとあらゆる事物と心を通わせる“トランスレーション”の力

「翻訳=トランスレーション」と呼ばれる行為をある種の「コミュニケーションのデザイン」とみなして、普段から何気なく使っている言葉の不思議さ、そしてそこから生まれる「解釈」や「誤解」の面白さを実感できる空間をつくり、互いの「わかりあえなさ」を受け容れあう可能性を提示する展覧会。ディレクターには、アートやデザインの領域をまたぎ、様々な表現媒体に携わる情報学研究者のドミニク・チェンを迎える。

私たちは、ただ生きて、呼吸をしているだけの時でも、周りの世界からさまざまな色や形、香りや手触りといった膨大な量の情報が体に流れ込んでくる。それらが無数の神経細胞を走り、身体感覚が感情に転化され、「なんて気持ちの良い日なんだろう」とか、「ああ、悲しい朝だなぁ」などという言葉がひとりでに口から出てきたりする。この時、私たちは目の前に広がる真っ青な空の色や、肌寒い冬の空気の冷たさといった、自分を取り巻く世界そのものの在り方を翻訳していると言える。
 このような翻訳を行う時、誰しもが少なからず「うまく言い表せない」もどかしさを感じているのではないだろうか。常に、精一杯の語彙や身体表現を用いて、沸き起こるさまざまな感情をなんとか他者に伝えようとするが、そもそも自分でも完璧にその感情を翻訳しきれることはないのだ。
 本展では、そんな人間のコミュニケーションに横たわる根源的な「わかりあえなさ」「言葉にできなさ」に、多種多様な翻訳の技法を通して対峙する。言葉や文字はもちろん、身振り手振りを使い、瞬時にして風景をその場に描き出す手話、言葉にしづらい感覚を、その場で絵にしてくれるグラフィック・レコーディング、また、古代の人々がつくり上げた文化に、現代人が新たな解釈を与えて新しい息吹を与える行為も、時を越えた翻訳行為とみなせるだろう。そして、人同士のコミュニケーションにとどまらず、微生物や植物、動物、そして無機物と対話しようとする営みの数々もまた、「翻訳」の射程を押し広げる。

この展示を体験し終えた後、自身の中でどのような翻訳の可能性が芽吹くのか。この世界に存在するありとあらゆる事物と心を通わせるための、未だ見ぬ言語を想像してみよう。

本多達也「Ontenna(オンテナ)」
伊藤亜紗(東京工業大学)+林 阿希子(NTT サービスエボリューション研究所)+渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)「見えないスポーツ図鑑」
永田康祐「Translation Zone」
長谷川 愛「Human X Shark」

開催概要
展覧会名 トランスレーションズ展 - 『わかりあえなさ』をわかりあおう
会期 2020年10月16日(金)〜2021年3月7日(日)
休館日 火曜日(11月3日、2月23日は開館)、12月26日(土)〜2021年1月3日(日)
時間 【平日】11:00〜18:30
【土日祝】10:00〜18:30
※入場は閉館時間の30分前まで
会場 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
入場料 一般 1,200円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
※事前予約制
※詳細はこちらこちらをご覧ください
公式サイト http://www.2121designsight.jp
問合せ 03-3475-2121
2020年10月21日更新