開館の年「1894年」を軸に、ルドンとロートレックの時代にフォーカス
三菱一号館が丸の内初のオフィスビルとして竣工した「1894年」という年を軸に、コレクションの中核をなす画家である、ルドンとトゥールーズ=ロートレックの時代に焦点を当てた、三菱一号館美術館開館10周年の最後を飾る展覧会。
1894年はルドンが色彩の作品を初めて発表した年であり、ロートレック、ルドン、ゴーガンが参加した『レスタンプ・オリジナル』の刊行年とも重なる。一方、同時代の日本では、フランスへ留学しルドンと同じ師のもとで学んだ山本芳翠が、代表作《浦島》を制作した時代でもあり、日本の洋画家と欧州の美術史の関係にも着目する。
フランスの南西部の町ボルドーで生まれた、オディロン・ルドン(1840〜1916)。39歳で最初の作品集を出版するのは、決して早いとはいえないが、ルドンの場合には、これが個性を固めるための準備期間となり、内面の夢と想像の世界から多くのものを得る。1894年の個展では初めて色彩の作品を発表し、木炭と石版画を使った「黒」の作品と並行して、パステルや油彩をつかった作品を制作し始める。19世紀末には、リトグラフの発展やパステルの色数の増加を受けて、ルドンは独自の芸術表現を築いていく。
幼い頃から画才を示し、画家になることを志したトゥールーズ=ロートレック(1864〜1901)。動物画家や歴史画家に学びながら、身の回りの人々をモデルに描き続け、カラー・リトグラフ(多色石版画)を使った作品《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》(1891年)で、衝撃的なデビューを果たす。彼の作品は美術愛好家の関心を引き、愛好家のための室内用のポスターが制作されたり、100部限定の豪華な版画集『レスタンプ・オリジナル』にも作品を寄せるなど活躍。グラフィック・アーティストとしても活躍したロートレックのような画家を、当時は「画家=版画家」と呼んで、その才能を称えた。
岐阜県美術館との共同企画である本展は、同館が誇る世界有数のルドン・コレクションから貴重な木炭とパステル画、ゴーガンの多色刷りの木版画を中心とした作品群、山本芳翠をはじめとする明治洋画の旗手たちの作品を出品。国内外あわせて常時120点の作品で構成される。
展覧会名 | 開館10周年記念 1894 Visions ルドン、ロートレック展 |
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会期 | 2020年10月24日(土)〜2021年1月17日(日) ※会期中、展示替えあり |
休館日 | 月曜日(ただし月曜日が祝日の場合と、10月26日、11月30日、12月28日、2021年1月4日は開館)、11月24日(火)・25日(水)、12月31日(木)、2021年1月1日(金) |
時間 | 10:00〜18:00 ※祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21:00まで ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 三菱一号館美術館 千代田区丸の内2-6-2 |
入場料 | 一般 2,000円、高大生 1,000円、小中生 無料(音声ガイド付き) ※各時間の入場人数に上限あり ※詳細は公式サイトをご確認ください |
公式サイト | https://mimt.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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