「彫刻とは何か」を追求した、20世紀彫刻の巨人イサム・ノグチ
その前人未到の創造の軌跡を、体感型展示で辿る
20世紀を代表する芸術家イサム・ノグチ(1904〜1988)の、晩年の独自の石彫に至る「発見の道」をさまざまな作品で辿りつつ、ノグチ芸術のエッセンスに迫る展覧会。
日本人の父とアメリカ人の母との間に生まれ、アイデンティティの葛藤に苦しみながら、独自の彫刻哲学を打ち立てたノグチ。生涯を通じて一貫して彫刻家であり続けながら、舞台美術やプロダクトデザインなどさまざまな分野でも大きな足跡を残した人物だ。
その半世紀を超える道のりにおいて、重要な示唆を与え続けたのが、日本の伝統や文化の諸相であった。例えば、京都の枯山水の庭園や茶の湯の作法にふれたノグチは、そこから「彫刻の在り方」を看取することができたのだ。
本展では、彫刻と空間は一体であると考えていたノグチの作品に相応しい、特色ある3つの展示空間の構成を採用。
第1章「彫刻の宇宙」では、1940年代から最晩年の1980年代の多様な作品を紹介。ライフワークである太陽と月に見立てた光の彫刻「あかり」の大規模なインスタレーションを展示室の中心に据え、《化身》、《黒い太陽》、《ヴォイド》など、様々な展開をみせるノグチの「彫刻の宇宙」を500uの回遊式の会場で展開する。
第2章「かろみの世界」では、ノグチが自らの作品に取り込むことに情熱を傾けた、日本の文化の諸相がみせる「軽さ」に着目。切り紙や折り紙からのインスピレーションを源泉に制作された金属板の彫刻、円筒形の「あかり」のヴァリエーション、そして真紅の遊具彫刻《プレイスカルプチュア》により、彼が表現しようとした「かろみ(軽み)の世界」を紹介する。
第3章「石の庭」では、イサム・ノグチ庭園美術館に残された最晩年の複数の石彫を、美術館で展示する初めての試みとなる。自らの彫刻の在り方を考えるうえで、最も大切なキーワードであった「庭園」が展示室内に立ち上がることで、ノグチ芸術の精髄が見えてくるはずだ。
一つの素材や様式にとどまることなく、貪欲な造形的実験につながる「発見」を繰り返しながら「彫刻とは何か」を追求したノグチの、前人未到といえる創造の軌跡を辿る、またとない機会となりそうだ。
展覧会名 | イサム・ノグチ 発見の道 |
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会期 | 2021年4月24日(土)〜8月29日(日) |
休室日 | 月曜日(ただし7月26日、8月2日・9日は開室) |
時間 | 9:30〜17:30 ※入室は閉室時間の30分前まで |
会場 | 東京都美術館 企画展示室 台東区上野公園8-36 |
観覧料 | 一般 1,900円、大学生・専門学校生 1,300円、65歳以上 1,100円 ※日時指定制 ※詳細は公式サイトをご覧ください |
公式サイト | https://www.tobikan.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
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