神秘と象徴の中間:草間彌生のモノクローム

カラフルポップな作品群と表裏一体。草間独自のモノクローム世界に迫る

  • 2021/06/30
  • イベント
  • アート

水玉や南瓜など、近年、カラフルでポップな作風でよく知られている草間彌生だが、本展では、初期から現在に至るまで継続して制作しているモノクロームの作品に注目し、その独自の世界を展観する。

古来より、水墨画や単彩画として東西に親しまれるモノクローム(単色)絵画は、20世紀美術における抽象表現の歩みとともに、様々な美術運動において展開されてきた。草間彌生もまた、1959年の発表以降制作が続く「無限の網」に代表されるモノクローム絵画にはじまり、白や金・銀1色で塗りつぶしたソフト・スカルプチュア、単色でありながらあらゆる色を反射する鏡の部屋や、単色の花で空間を埋め尽くすインスタレーション、最新の絵画シリーズ「わが永遠の魂」での、稀有な色彩感覚で組み合わされたモノクロームの作品群など、単色あるいは地色と描画色の2色に限定したパレットでの制作を継続して行っている。
 図と地が流動的で、オールオーヴァーに作品表面を覆い、さらには作品の外へも拡がる印象を与えるこれらの作品において、モノクロームは反復を強調し、あるいは集積をひとつに取りまとめ、その強烈な視覚性とドライヴ感の増幅に大きな役割を果たしている。

展示構成は、1階エントランスでの、鑑賞者が覗き込む小型のミラールーム作品《去ってゆく冬》からスタート。そして、2階ギャラリーには、50年代末に制作された初期モノクローム絵画の代表作《無限の網⑴》をはじめとした、70〜90年代制作のソフト・スカルプチュア作品、90年代末に制作されたセラミックの小立体作品などを展示。続いて3階ギャラリーでは、2019年制作のステンレス製のインスタレーション作品《雲》、最新の絵画シリーズ「わが永遠の魂」、4階ギャラリーでは最新の参加型のプロジェクト《フラワー・オブセッション》など、近作が続く。

草間が一貫して追求する自己消滅の表現における、反語的な色彩の探求ともいえる独自のモノクロームの世界を堪能したい。

  1. 草間彌生 ≪天国へ上る階段≫ 2019	© YAYOI KUSAMA
  2. 草間彌生 ≪きのう見た夢≫ 2006 © YAYOI KUSAMA
  3. 草間彌生 ≪自画像≫ 1995 © YAYOI KUSAMA
  4. 草間彌生 ≪幻影の愛≫ 1988、≪幻影の彼方(パーティー)≫ 1997、≪希死≫ 1975-1976 © YAYOI KUSAMA *左から時計回りに
  5. 草間彌生 ≪フラワー・オブセッション≫(部分) 2017/2020 草間彌生美術館(東京)でのインスタレーションビュー 2021年 © YAYOI KUSAMA
  1. ≪天国へ上る階段≫ 2019
  2. ≪きのう見た夢≫ 2006
  3. ≪自画像≫ 1995
  4. ≪幻影の愛≫ 1988、≪幻影の彼方(パーティー)≫ 1997、≪希死≫ 1975-1976 *左から時計回りに
  5. ≪フラワー・オブセッション≫(部分) 2017/2020 草間彌生美術館(東京)でのインスタレーションビュー 2021年
  6. ※すべて、草間彌生 © YAYOI KUSAMA

開催概要

展覧会名 神秘と象徴の中間:草間彌生のモノクローム
会期 2021年4月29日(木)〜12月26日(日)
※最新の開館情報は公式サイトをご確認ください
休館日 月・火・水曜日(祝日を除く)
時間 11:00〜17:30
会場 草間彌生美術館
新宿区弁天町107
観覧料 一般 1,100円、小中高生 600円
※日時指定の事前予約・定員制
※チケットは美術館公式サイトのみで販売。窓口での取り扱いなし
※詳細は公式サイトをご確認ください
公式サイト https://yayoikusamamuseum.jp/
問合せ info@yayoikusamamuseum.jp

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