包む−日本の伝統パッケージ

日本の伝統パッケージから、日本人の美意識や手わざの粋を学ぶ

日本のデザイン黎明期に、わが国の伝統的なパッケージの収集と研究を続け、「TSUTSUMU(包む)」という言葉とともに大きな足跡を残したデザイナー・岡秀行。本展では、自然素材のパッケージに向けた岡のまなざしから見えてくる、「包む」ことに日本人が込めた想いや手わざの美を、目黒区美術館所蔵の岡コレクションより紹介する。

1972年に出版された写真集『包』(毎日新聞社刊)は、すでに絶版となっているものの、愛蔵書として今なお読み継がれている。この本の著者・岡秀行は、戦前からアートディレクターとして活躍する一方で、木、竹、藁など自然の素材が生かされたパッケージに魅了され、収集・研究を始め、藁のつとの素朴な美しさや、すし桶、菓子箱の職人技による伝統美に、日本人ならではの「美意識」と「心」を見いだす。そして、これらに「伝統パッケージ」と呼称を与え、書籍の出版や展覧会を通じて、高度経済成長期の日本において消えつつある技術や美があることの啓蒙につとめた。
 岡が収集した「伝統パッケージ」の特徴は、木、竹、笹、藁などわが国の風土に育まれた自然素材や、陶器、和紙、絣など、古来日本人に馴染みある素材が使われている点がまず挙げられる。
 そして、デザインの観点から言うと大きく2つに分けられる。1つは、「生活の知恵の結晶として生み出された形」であるということ。実用性に重きをおき、余計なものが省かれた、シンプルな造形美と機能美を見い出せる。もう1つは、伝統の技と言っても良い「高度な包装技術と美的感覚を持つもの」であるということ。“包むこと”自体に重要な意味づけをしてきた日本人の美意識と、“いかに美しく包むか“という職人や作り手のプライドと手わざの美を特徴とする。

1988年に目黒区美術館が日本の美術館で初めてこのコレクションを本格的に紹介して以来、3度目の開催となる本展。パッケージに向けられた岡のまなざしを感じながら堪能したい。

《卵つと》 山形県
《釣瓶鮓》 奈良県/釣瓶鮓弥助
《ささらあめ》 宮城県/熊谷屋
《澤之鶴》 兵庫県/沢の鶴株式会社
《おひねり》
《岡山獅子》 岡山県/中尾正栄堂
開催概要
展覧会名 包む−日本の伝統パッケージ
会期 2021年7月13日(火)〜9月5日(日)
休館日 月曜日(ただし8月9日は開館)、8月10日(火)
時間 10:00〜18:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 目黒区美術館
目黒区目黒2-4-36
観覧料 一般 800円、高大生・65歳以上 600円、中学生以下無料
公式サイト https://mmat.jp/
問合せ 03-3714-1201
2021年6月17日更新