教科書でおなじみの空也上人立像が、半世紀ぶりに東京で公開
南無阿弥陀仏ととなえて極楽往生を願う阿弥陀信仰をいち早く広めた、平安時代の僧侶・空也上人。その没後1050年にあたる今年、京都・東山の六波羅蜜寺に伝わる空也上人立像が、半世紀ぶりに東京で公開される展覧会が実現。
平安京に疫病が流行した際、念仏をひろめた空也上人。日本史の教科書でおなじみの重要文化財である空也上人立像は、運慶の四男である康勝が上人の姿を写実的に表した像で、仏師の代表作とされる。この像が制作されたのは鎌倉時代で、上人がこの世を去ってから200年以上が経過していたが、つねに市井の人々と共にあった上人への畏敬の念と、口から6体の阿弥陀仏が現れたという伝承を表したものだ。六波羅蜜寺では正面からの拝観だが、本展覧会では鎌倉肖像彫刻の傑作を、さまざまな角度から存分に鑑賞することができる。
そして、空也上人立像以外にも、平安・鎌倉彫刻の宝庫、六波羅蜜寺の名品が一堂に。京都・東山に位置する六波羅蜜寺(創建時は西光寺と称した)は、京都の葬送の地の一つ鳥辺野の入口にあり、「あの世」と「この世」の境界に位置する寺として、人々の篤い信仰を集めてきた。寺は幾度か兵火にあったが、創建時から伝わる重要文化財《四天王立像》をはじめ、巨匠運慶の瑞々しい写実性が表れた地蔵菩薩坐像など、兵火をまぬかれながら伝えられてきたゆかりの品々を通して、六波羅のもつ独特の立地が生み出した信仰の蓄積を紹介する。
心の安寧を祈り、生涯をささげた空也上人の姿と、六波羅蜜寺の歴史と美術を通して、疫病や困難に立ち向かい懸命に生きた当時の人びとの信仰の厚みにも、思いを馳せる機会になるだろう。
展覧会名 | 特別展「空也上人と六波羅蜜寺」 |
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会期 | 2022年3月1日(火)〜5月8日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし3月21日・28日、5月2日は開館)、3月22日(火) |
時間 | 9:30〜17:00 |
会場 | 東京国立博物館 本館特別5室 台東区上野公園13-9 |
観覧料 | 一般 1,600円、大学生 900円、高校生 600円、中学生以下無料 ※事前予約(日時指定券)推奨 ※当日券は、日時指定券に空きがある場合のみ販売 ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | https://www.tnm.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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