もう、上村松園と区別がつかないなんて言わせない
幻の三部作をはじめ110点超の日本画で、本当の清方芸術に出会う
浮世絵をベースにした平明な姿かたち、明るい色調をもつ美人画によって画壇での地位を築いた鏑木清方(1878〜1972)。その代表作として知られ、長きにわたり所在不明だった《築地明石町》(1927年)と、合わせて三部作となる《新富町》《浜町河岸》(どちらも1930年)は、2018年に再発見され、翌年東京国立近代美術館のコレクションに加わった。本展は清方の没後50年という節目を得て、三部作をはじめとする約110点の日本画作品で構成する清方の大規模な回顧展となる。
清方と言えば上村松園と並び称された美人画家として定評があるが、意外にも、彼には美人画と言うには収まりの悪い作品が多いことも事実だ。それは清方が市井の人々の生活、あるいは人生の機微を描こうとしていたからに他ならない。女性の姿かたちや所作、いで立ちだけでは決して成立しない――そんな清方作品の個性に着目する本展では、ラインナップを精選して、彼の作品がもつ物語る力を読み解く。具体的には、清方が「需(もと)められて」描いた作品を少なくし、代わりに自己評価の高かった作品を積極的にラインナップに追加。清方が残した制作記録のうち、8年分にだけ記された3段階の自己採点である☆☆☆(会心の作)、☆☆(やや会心の作)、☆(まあまあ)をもとに、出品作23点を☆の数で紹介する。
東京会場では、清方芸術を「生活をえがく」「物語をえがく」「小さくえがく」の3章に分けて紹介。「生活をえがく」では、着物など明治時代の風俗描写が冴え、時代の空気をまざまざと想像させる。また「物語をえがく」では、泉鏡花など文豪の名作や歌舞伎を知る人にはたまらないラインナップに。そして「小さくえがく」では、清方の筆技を存分に楽しめる。
本当の清方芸術に出会う――清方好きならぜひ押さえておきたい展覧会となりそうだ。
展覧会名 | 没後50年 鏑木清方展 |
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会期 | 2022年3月18日(金)〜5月8日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし3月21日・28日、5月2日は開館)、3月22日(火) |
時間 | 9:30〜17:00(金・土曜日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京国立近代美術館 千代田区北の丸公園3-1 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 1,800円、大学生 1,200円、高校生 700円、中学生以下無料 ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | https://www.momat.go.jp/am/ |
問合せ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
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