国内の肉筆画の名品とともに
世界トップクラスの北斎コレクションを展観
世界でもトップクラスの北斎コレクションの質を誇る大英博物館。本展では、その所蔵作品を国内の肉筆画の名品とともに、北斎が還暦を迎えた60歳から90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を当て、代表作が生み出される様子を紹介する。
北斎の揃物の名品は、その多くが70歳を過ぎてから制作された。風景版画の代表作とされる《冨嶽三十六景》は、数え71歳から74歳頃の作品と考えられており、晩年になっても尽きることのない北斎の創作意欲を感じさせる。一方、「春朗」という画号で活動していた初期の作品《市川鰕蔵の山賤実は文覚上人》からは、人物の動きを捉える巧みなバランス感覚が見て取れる。現存数の少ない貴重な初期作を通して、北斎が画業の最初期からすでに才能を開花させていたことが分かるはずだ。
一方、北斎が直接筆を執った肉筆画は、40代から50代半ばと、75歳頃から没年までの2期に多く描かれている。とくに前者では美人画の優品、後者では幅広い画題に挑戦をした意欲作が次々と生み出された。代表作《流水に鴨図》(大英博物館)は88歳の作品だが、水上と水中の様子を対比的に描き分ける巧みなテクニックには、筆の衰えが一切感じられない。また、《弘法大師修法図》(西新井大師總持寺)は、晩年期の作品では最大級で、80代後半になってもなお気力と体力に満ち溢れていた北斎の姿が浮かび上がってくる。大英博物館および国内所蔵の肉筆画の名品を通して、天才絵師・北斎の真骨頂を感じられるのではないだろうか。
大英博物館が所蔵する北斎コレクションは、様々なコレクターからの譲渡によって、質・量ともに充実していった。本展では、これらの北斎コレクションに加え6人のコレクターおよび研究者に着目し、旧蔵品や著作、関連資料などを通して、イギリスにおける北斎愛好にも焦点を当てる。
展覧会名 |
大英博物館 北斎 ―国内の肉筆画の名品とともに― |
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会期 |
2022年4月16日(土)〜6月12日(日) ※会期中、展示替えあり |
休館日 | 火曜日(ただし5月3日、6月7日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00 ※金・土曜日、4月28日、5月2日〜4日は20時まで開館 ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | サントリー美術館 港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,700円、高大生 1,200円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://www.suntory.co.jp/sma/ |
問合せ | 03-3479-8600 |
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