六本木ヒルズ A/Dギャラリー
自身が過去に深刻なひきこもりだったことをキッカケに、作品やパフォーマンスを展開する渡辺篤(わたなべ・あつし)の個展。日本に170万人以上いると言われるひきこもりだが、その当事者がいる状況自体がブラックボックス化しているため、なかなか現状が見えてこないのが現実だ。渡辺はそれを時に自身の身体を使い、時に他者へ呼びかける事で表現し、最近ではメディアからも多数取り上げられるなど注目を集めている。
会場の壁面を埋めるのは、個人的な心の傷をウェブサイトで募りコンクリート板に書いた《プロジェクト「あなたの傷を教えて下さい。」》。板を一旦ハンマーで割り、伝統的な“金継ぎ”の技法で修復する事で、その傷がいつか修復され癒えるのを願ったプロジェクトだ。
また、一畳サイズのコンクリートの中に一週間こもり、その後自力で脱出したパフォーマンス《止まった部屋 動き出した家》の再演映像も鑑賞できる。
自身の過去の傷をアートに昇華する事で、他者の傷に気づき見殺しにしない社会を作りたいという切実な祈りは、来場者に何かしらの気づきと救いを与えてくれるのではないだろうか。
会期は8月27日(日)まで。会期中無休。時間は12:00〜20:00。
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