Painting with Light (光で描く絵画)

SCAI PIRAMIDE(六本木6-6-9 ピラミデ3F)

  • 2022/11/17(木)
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Painting with Light (光で描く絵画)

 60年近くにわたり、光をキャンバスに統合しようとする試みと知覚をめぐる試行を続け、抽象表現の実現に打ち込んできたメアリー・コース。最新作が一堂に会する、日本初個展が12月10日(土)まで開催されている。

 コースは、1960年代のカリフォルニアで、当時流行していた幾何学的な抽象表現やミニマリズムの厳格な形式を背景に生まれた「ライト&スペース」というムーブメントに関連づけられ、近年世界的に再評価が高まっているアーティストの一人。「ライト&スペース」は、ガラスビーズなど透明、半透明、または反射素材を用いたり、オブジェや建築物に直接光源を埋め込むことで、光をメディウムとした知覚現象に焦点を当てたことを特徴としている。コースはキャンバスにガラス製マイクロビーズの層を加える技法など、独自に手法を発展させてきた。

 会場には、白いモノクロームのグラデーションのみの作品と、白色をベースに黒色の垂直の帯で区切られた作品が、影を表すために壁から少し浮かせて展示されている。マイクロビーズの粒は思いのほか小さく、光の反射と屈折の相互作用によって現れては消える幅の異なる光の帯が現れ、複雑で繊細な輝きを放つ。カリフォルニアの海岸線に沿って走るハイウェイの車道に引かれた白い境界線からひらめきを得た技法を取り入れた作品は、視点の位置によって変わる知覚の主観的な性質を明らかにする。

 現在77歳になるコースが「様々なものを削ぎ落して感情を込めた」という新作が揃う貴重な機会。色々な角度から鑑賞し、作品との静かな対話や、やわらかで繊細な光が包む空間を体感してほしい。

【休廊日】日月火水祝
【時間】12:00〜18:00

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