ガブリエル・リコ「THE PROPAGATION OF TEURÁRI」

ペロタン(六本木6-6-9 ピラミデ1F)

  • 2023/5/16(火)
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ガブリエル・リコ「THE PROPAGATION OF TEURÁRI」

 ラテンアメリカで最も才能のあるアーティストの1人とも言われ、ヴェネチア・ビエンナーレなどにも出展するメキシコ人アーティスト、ガブリエル・リコの個展が開催中。

 ガブリエル・リコは、メキシコ、グアダラハラを拠点に、人間と自然環境の関係性について思案させる立体作品を中心に制作している。自らを「発見的手法を用いた存在論者」と称するリコの作品は、発見・収集・製造された多様な素材(ネオン、剥製、陶器、枝、個人的な思い出の品々など)に特徴がある。それらは皮肉的かつ詩的に、自然・不自然な形状が組み合わされ、その非対称性をとおして私たちの文化的・政治的欠陥について不可欠な熟考を促している。

 会場に入るとまず目を惹くのが、まるで生きているかのような美しい鹿のはく製作品だ。タイトルの「TEURÁRI(テウラリ)」とは、メキシコの先住民、ウィシャリカ(ウイチョル族)の信仰にまつわる鹿の姿をした神の化身を意味する。本展は、リコが過去10年にわたりコラボレーションを行なってきた先住民のグループへのオマージュが込められている。
 会場にはその他にも先住民の伝統的な職人技であるニエリカ(毛糸絵)やチャキラ(ガラスビーズ)の技法が使用された作品が並ぶ。前者を用いた作品では、繊細なシルク糸の流れが光を取り込み、さまざまな表情を作り出している。後者はしきつめられた極小のビーズが無限の宇宙を表現している。このように非西洋的な知識を融合することで、自然とのより強固な繋がりの構築を図っているという。

 3つの展示スペースでは、焚火を囲む4体のセラミック作品をはじめ、さまざまな異なる技法や素材が取り入れられており、リコの幅広い表現力が伺える。
 それぞれの作品が静かに、私たちに人間や文明と自然、地球、そして宇宙との関係を再考するきっかけを与えているようだ。

【会期】5月12日(金)〜6月24日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜18:00
【画像】Exhibition views of Gabriel Rico "The Propagation of Teurári" at Perrotin Tokyo. Photo by Keizo Kioku. Courtesy the artist and Perrotin.

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